相談者役は、JCDAの場合、キャリアコンサルタント及びCDAに募集を掛け、一定の条件の中から選考面接を行い、研修を経て、試験業務(つまり、相談者役)に就きます。
事例はあらかじめ決められられたものですが、相談者役には、情報漏れ対策として、試験開始直前に渡されます。従って、相談者役は短時間で内容を理解する必要が出てきます。
という「推測」を前提に考えてみますと、
1)事例内容を漏らさず理解しているか不安だァ!
面談が始まり、話を進めていかなければいけないが、間違ったらどうしようという不安は常につきまとっていると思います。
国家資格という大切な試験、自分も受験の時に大変な思いをした。私のせいで試験を台無しにしてしまったらどうしよう?と、緊張感は受験生に劣らず高まっていることでしょう。落ち着いているように見えてもきっとそうだと思います。だって、人間ですから。
2)突っ込まれたら大変だァ!
事例を細かく理解する時間が無いとすれば、やたらに質問され、突っ込まれたらどうしよう?と思う筈です。話が進んで、つじつまが合わない点が出てきたら・・・。
最初に事例を渡された時、相談者役はその事例をStoryとして理解する筈です。現在こういう状態で、この点に困って相談に来た。周りはこうであり、こんな気持ちになっている。背景にはこんなことがあり、それらが〇〇という考えになっていて、どうやらそこに問題がありそうだ。
よし、それではこういう流れで話を進めよう。ですが、最初からいろいろ質問が飛んできて、あらかじめ考えていたStory通りには進められない。どうしよう!少し話すのを止めようか・・・と思っても不思議はありませんね。だって、人間ですから。
3)こいつはやりにくい?、不合格だァ!
反応が無く、表情も硬い、目線がどこまでも追いかけてくる。質問に答えてもまた質問。ズバズバ入り込んできて、すぐに「お気持ちは?」と訊いてくる。一体何を考えているのかこの受験生は!やりにくい。
さっきの受験生は良かった。ちゃんと話を聴いてくれて、こちらのペースで進められ、話し易かった。あんな人に相談してみたい。それにひきかえコイツは!
と、思うかも、しれません。相談者役として中立の立場で試験業務を遂行するよう研修を受けた。受験生を評価してはいけない、評価してはイケナイ、絶対に、ゼッタイに・・・。でも、コイツは不合格だァ!!と叫びたい!だって、人間ですから。
4)私だって人間だァ!
「相談者役」も大変ですね。きっとこんなことを言って見たくなるのではないかと思います。
分かっていても出来ない、それが人間ですね。葛藤、こころの動きが人間を創っているとも言えます。不思議なるもの”人間”、ここが対人支援の原点です。
公平さを目指しつつも人間的な要素は無視できませんし、恐らく間接的には合否に影響してくるのではないかと思います。
そういった点からも「相談者(役)」を良く観察し、安心して「相談」して頂ける配慮が、良い結果につながるのではないかと思います。
実際のご相談でも勿論、相談者を観察し、置かれている状況に応じて対応を変えていきます。固いようであれば柔らかい雰囲気をつくり、険しい話であれば真剣に受け止めます。
必要な質問だと思っても、嫌がっているようであれば、止めます。行き詰ったら、話題を変えて気分転換を図ります。これは全て相談者への配慮ですね。
上手くやろう、合格点を取ろうと思ったら本末転倒ですよ。罠にはまらないで下さいね。あくまでも相談者(役)のことを考えるのが基本です。
試験でもきっとそうなんじゃないかな。そう思います。
試験委員もこうした配慮が出来るか否かをチェックしていることでしょう。
だって、試験官だって人間ですから。