論述試験

第20回JCDA「論述解答例」

論述試験が近づいてきましたね。論述試験対策として簡単なアプローチはいくつかご紹介してきましたが、本日は第20回論述試験の解答例について公開したいと思います。

尚、解答例は正解を示すものではなく、また何らかの結果や効果を保証するものではありませんのであくまでもご参考としてご覧ください。

(第20回JCDA論述試験:解答例)
問い1
事例Ⅰは「入社2年目なので仕事のやり方が身についていない。これからは慣れていく。」と固定観念を押し付け、「自分でやろうとするのはいいこと」と安易な励ましを行うなど問題から目をそらす対応になっている。一方、事例Ⅱは、相談者は自分で問題に向き合う力を持っているはずと好意的関心を寄せ、「相談をためらう自分」という語りを受けて経験や状況を尋ね、内省を促している。そして相談者自身が「自分を守る必要があるのかな。」と自分のものの見方を新たに模索していくような対応になっている。

問い2
事例Ⅰ:「相応しくない」
理由:相談者の「自分の考え方」についての探索を一方的にさえぎり、キャリアコンサルタント自身の見解に誘導するような応答になっているため。

事例Ⅱ:「相応しい」
理由:ためらう時の気持ちを明確にし、受容・共感すると共に自己探索を更に促して自らの問題に向き合うような支援になっているため。

問い3
相談者は「自分でやってみることを大事にする」という基本的な考え方を持っていて、相談や質問をためらう傾向にある。そしてその考え方の根底には「能力がない」と思われたくない、「自分の弱さを見せたくない」といった思いが隠されていると、相談者の語りを通じて理解することができる。従って、相談者の問題は、”相談や質問は能力の無さ、あるいは弱みを露呈することになる”と強く思い込んでいるところにあると思われる。

問い4
相談者に「そんなに自分を守る必要があるのかな。」という自己概念に対する気づきが生まれたので、今後は新たな肯定的自己概念を見つけ、自ら問題を克服していけるように支援していく必要がある。こうした理由から、まず「自分を守る」ことの意味について問い掛けてみる。また、自分を守ることによって得られること、失うことなどを確認し、自分らしく仕事に前向きに取り組んでいくためにはどのようなものの見方や考え方をしたらいいのか、あるべき姿の明確化等も含めて展開を考えていく。
(以上)

第20回協議会「論述解答例」

論述試験が近づいてきましたね。論述試験対策として簡単なアプローチはいくつかご紹介してきましたが、本日は第20回論述試験の解答例について公開したいと思います。

尚、解答例は正解を示すものではなく、また何らかの結果や効果を保証するものではありませんのであくまでもご参考としてご覧ください。

(第20回協議会論述試験:解答例)
設問1
コロナ禍で売り上げが低下、経営が厳しく百貨店からの撤退も決まった。業界全体が厳しいので先が見通せない。何か違うことをしなければいけないと思うが、どうしたらいいか。

設問2
具体的に検討していることの有無を含めて確認することによって本気度や背景等を情報収集し、相談者の問題を把握するためのヒントを得ようという意図があったと思われる。

設問3
①問題 イ)自分に自信がなく自己理解不足。ロ)経験がないことに関する仕事理解不足。ハ)置かれている状況や職業に関する情報不足。ニ)キャリアプランが不明確な点も問題。
②その根拠 イ)は「自分に出来ることがあるのか・・・。」ロ)「正社員で安定した仕事と言われてもイメージがつかない。ハ)「経営は厳しいようだ」「更新はしてくれないかも」「もう厳しいのでは」ニ)「将来のことを考えると、~整理がつかない。」等の言動が根拠。

設問4
「何か違うことをしなければいけないのかな」と模索状態にあり、店長や人事との面談も迫っているので、将来に向けた方向性を明確にすると共に何をどう話すか整理することを方針にする。具体的には、自分に自信を持つために経験を振り返り自分の強みや能力を再確認する。正社員の働き方や自分の興味・関心を活かした仕事について資料やネットを利用して調べてみる。判断材料として不足していると思われる会社の状況や処遇等についての情報を列挙し面談時の質問として準備しておく。5年先のなりたい自分を明確にする。
(以上)

第20回論述試験

第20回試験が終わり合格者が発表されました。すでに論述試験問題は公開されていますが、面接を含めて大きな変化はなかったのではないかと思います。

特に論述試験は従来の形式を踏襲したものであり、準備してきた力を十分発揮できたことでしょう。とは言え、限られた時間内に答案を作成しなければならないとなると、そう簡単でもないですね。

さて、今回の試験で迷った点があるとすると、JCDAの指定語句「好意的関心」と「励まし」でしょうか。受験された方はどんな使い方をしたのでしょう。

まず「好意的関心」ですが、これはJCDAの『キャリアカウンセリングとは何か(改訂版 2022.3.31)』によると、相談者に対する姿勢で、「再帰性」と関連している。キャリアカウンセラーが「好意的関心」を相談者に寄せるとは、相談者自身が自分自身に肯定的になることを同時に意味します、といった説明がされています。

再帰性とは、同資料でトースターのサーモスタットを例に説明されていますが、コーチングを学ばれた方にはお馴染みの「オートクライン」とほぼ同義だと思われます。

オートクラインとは、元々細胞間の情報伝達を説明するもので、要するにひとは他人に語ることによって自分自身でも自分の言葉を聴いていて新たな気づきにつながることがある、という意味です。

そして、単に相談者を好意的にみるというだけではなく、ひとは本来自律したもので、自ら道を拓き、成長できる存在だという人間観が根底にあると考えられます。

このような視点に立つとき、固定観念で自己の考えを押し付けたり、自分の価値観に誘導したりすることはキャリコンの態度として相応しくないということになりますね。

この様に考えてくると、「好意的関心」とは、相談者は自ら問題に向き合い、現状を打開していく力を持っているはずという姿勢だ、と理解すればいいのではないかと思われます。

次に「励まし」です。さて、どうとらえましょうか。

マイクロカウンセリングで言う”ハゲマシ”は「はげまし」です。(A.E.アイビイ 日本マイクロカウンセリング学会 マイクロ技法の階層表 福原眞知子)手法としての「はげまし」は6つほどの用例を挙げて説明していますが、意味するところは語りの促しです。受容、共感にもつながるものがありますね。

アイビイや翻訳者が手法として「はげまし」を挙げ用例も示したのは、その重要性を指摘すると共に、”安易な励まし”は慎むべきとしたかったのかもしれません。

さて、指定語句は「励まし」です。出題者が「励まし」と「はげまし」を区別していたのか否かそれは分かりませんが、受験生としては両者の違いを頭に入れて答案作成することが最低限必要だったのではないかと思います。

(お知らせ)
キャリコン実践研究会では、第21回の試験に向けて「テキストの販売」と「オンライン講座」をご用意いたしております。

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(論述試験)目指せ40点!(6)

論述試験の配点は50点、面接試験が100点で、実技試験の合計点は150点。得点率60%、90点取れば合格です。ですが、試験は同日ではなく先に論述試験が行われるという点に着目してみますと、論述試験の出来栄えが面接試験に少なからず影響を与えるということが懸念されます。

もし、論述試験で40点取れれば・・・、面接試験は50点取ればいい!ということになります。ご報告いただいた当会の受講生で面接試験が50点未満という方はほとんどいませんので、ほぼ全員めでたく合格、資格取得ということになりますが、面接試験で50点取れればいいと思えること自体が心理的なゆとりを生み、落ち着いて相談者(役)に向き合えるようになるのではないかと思います。

一方、論述試験の出来が悪かったら、面接試験で挽回しなければならないとムリに力が入ってしまう心配があります。

まあ、点数評価は合格発表時点でしか分かりませんが、論述試験の感触といったものは無視できないと思われますので、是非、40点以上を目指して論述対策に取り組んで頂ければと思います。


さて、JCDAの最後の出題:問い4は、「事例Ⅱのやり取りの後」「どのようなやり取りを展開していくか」「理由を含めて、具体的に」答えさせる出題です。

一つひとつ見ていきましょう。まず「事例Ⅱのやり取りの後」という点ですが、解答文は事例Ⅱの最後の部分に触れるところから始めます。最近の傾向は自分自身の問題について「気づき」が見られたシーンで終わっていますね。

気づきというと、いままで正しいと思ってきたことに少し疑問を感じるようになった、そんなケースがほとんどの様です。そうしますと、そうした気づきを明確にした上でどうするのが、あるいはどうなるのが良いのか、新しい考えや価値観を再構築するステップに進んでいきます。

「どのようなやり取りを展開していくか」については、例えば「消極的」というネガティブな気づきであったとすると、その反対語を思い浮かべてみると分かり易いかと思います。この場合は「積極的」ということですね。積極的とはどういうことか?などをテーマにしていくと、望ましい方向性が見えてくるでしょう。一つのヒントとして覚えておいてください。

最後に「理由を含めて、具体的に」という条件ですが、まず「理由」については、気づきを起点として「ネガティブな気づきだったので、自分で選択し自ら決断していくためにはポジティブなものの見方が必要」という観点から記述していけばいいかと思います。

また、逐語における相談者の言葉を引用すれば「具体性」も加味できます。このようにして解答文を作成していけばいいのではないかと思います。

繰り返しになりますが、解答文は、気づきの部分にまず触れ、その具体的な相談者の言葉を引用し、ネガティブな点を明確にすると共にポジティブな新たな考えを再構築する方向を目指す旨をしっかり記載します。

そして、問い3で、自己理解・仕事理解面等も問題として取り上げていたら、同時に自己理解や仕事理解を深める点も触れておくと良いでしょう。
以上です。論述試験、40点以上を目指してがんばってください。


【キャリコン実践研究会】

 今後、解答例の提示も考えていこうと思っていますが、実現までには少々お時間を頂きたいと思います。

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また、学びの場はコミュニケーションの場でもあります。われわれ講師は受講生との対等で共に学ぶ視点で交流を深めたいと思っています。お申込後に疑問点や新たに気づいた点がありましたらどんどんご連絡ください。成長に限界はありません。それぞれの立場で、それぞれのペースで、ご自身の世界を高め、広げていってください。

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(論述対策)目指せ40点!(5)

論述試験は時間配分も大きな要素です。途中で引っかかったり解答主旨がまとまらないと、いたずらに時間が過ぎてしまい焦りを呼んでしまいます。

従って、合格点以上を目指すためには答案練習が欠かせません。試験日が近づいて来たら毎日50分の試験環境を作り、実際に答案を書いてみましょう。キーボードに慣れた生活では、鉛筆で文字を書くこと自体が課題になることだってあります。

出題は過去問3年分がネットから入手できますので、その出題及び解答用紙を使います。解答スペースを考慮し、はみだしが無いか、採点者に見やすい答案になっているかもしっかりチェックします。

同じ答案を何度解いても構いません。得点レベルよりもより洗練された答案に仕上げるという視点で練習すれば、きっと本番での実力発揮につながると思います。欄外やメモ用紙の活用、出題文へのマーキングなども工夫してみてください。


さて今回はいよいよ協議会の最終問、設問4です。「設問3で答えた内容を踏まえ」「今後、どのような方針で」キャリアコンサルティングを進めていくかを答えさせる出題となります。

信頼関係が構築され、ある程度お話を聴くことができ、相談者の問題も見えてきた。さてここからどのように面談を進めていくか、その時点での設問ですね。

まず「設問3で答えた内容を踏まえ」ということですから、明確にした相談者の問題に向き合うことから書きはじめます。設問3と違って解答スペースも十分ありますので、設問3で言及しきれなかった点を書き加えても良いかと思います。

事例によって一概には言えませんが、設問3の解答主旨が自己理解、仕事理解だとすれば、まずそれらについて触れます。例えば、一番差し迫った問題が、自分の役割についての偏った見方だったとすると、まずそうとは限らない点を理解してもらうやり取りから始めます。

そして、確かにそうとはかぎらないなあと偏った論理に柔軟性がでてきたら、改めてご本人の本来の姿に気づき、自己理解を深めてもらうという展開を想定します。つまり自分の強みや能力、興味関心に気づいてもらい積極的に取り組んでいけるような土台を作っていくわけです。

次に「今後どのような方針で」という点ですが、方針とは「進むべき方向」ですから、展開でもいいしステップと考えても間違いはないと思います。

言い換えれば、「相談者が相談したい問題」に応えられる当面のゴールを示すということにもなります。そして、それは相談者に合意してもらえるものでなければいけません。

以上のような視点で解答文を作っていけばいいかと思います。設問3と設問4はひとつの出題と考えて、トータルで、相談者の問題/その根拠/今後の対応方針を答えていく。この流れは面談でも試される展開ですので、しっかり押さえておきましょう。
(つづく)

 
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(論述試験)目指せ40点!(4)

論述試験の難しさは、時間内に解答文にまで書き上げなければならないことですね。問題文の読解力、相談者の背景や問題点についての洞察力、そして解答文を作成する文章力ですから、考えてみたら脳みそフル回転、体調なども影響し、論述試験は人間力総動員で対処しなければいけない大イベントです。

そんな論述試験でなんとか80%以上の得点を取っていただきたいと、私なりにコメントする第4回目です。


今回はJCDAの問い3で、「全体の相談者の語りを通して」「(キャリコンが考える)相談者の問題」を「具体的な例をあげて」答えさせる出題。

JCDAが考える「相談者の問題」は明確です。すなわち、”自己概念が絡む問題”で、自己概念というと、考え、経験、価値観に関わるものということになります。

ここで、考え、経験、価値観というと複雑になりますが、経験から考えは作られますし、考えも信念に近いようなものになりますと価値観ですから、受験対策上は「相談者の問題は経験から導き出された強い考え」とシンプルに捉えてもいいのではないかと思います。

強い考えは信念であり、それが問題につながっているとなると非論理的な信念で「思い込み」です。論理療法などを考えるとよく分かると思います。

さて、考え(思い込み)と言ってもちょっと曖昧ですね。もう少し具体化しましょう。それは相談者をとりまく(環境)事象に関する考え、言い換えれば「ものの見方」にもなります。

ものの見方は「相談者の語り」に現れます。従って出題条件に沿って相談者の語ったフレーズから該当部分を取り上げ、「~という語りから、~という思い込みがあると思われ、この点が相談者の問題である」とし、可能であればその非論理性についても言及すればいいのではないかと思います。

尚、最近、JCDAも少し協議会側にシフトしているのかと思わせることもあり、必要に応じて自己理解や仕事理解、その他コミュニケーションやキャリアプランについて触れておくのもいいかもしれません。(ご参照:当ブログ「(論述試験)目指せ40点!(3)」)

但し、JCDAは経験代謝という独自のアプローチを持ち、相談者の語りの「意味」を重視します。そして、その「意味」を解明するために「感情」を手掛かりにして問題に迫ります。こうした点を頭に入れ、相談者の問題の中心として相談者の「考え」を押さえておくことを忘れないでください。
(つづく)

 
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(論述試験)目指せ40点!(3)

キャリアコンサルティング。面談中はいろいろなことが起きます。例えば、相談者とのお話がうまくかみ合わない時、コンサルティングに迷うこともあります。どうやって本来の姿に戻していくか焦る場面でもあります。キャリコンも人間ですから、いろいろ手を打ってもますます深みに・・・。

そんな時、何が頼りになるか?というと、理論的な理解です。そのような意味で、論述の勉強は実技試験の基礎になりますのでしっかり押さえていきましょう。


今回は、協議会の設問3で、①あなたが考える相談者の問題と②その根拠を相談者の言動を通じて答えさせる出題です。いよいよ核心に入ってきました。

協議会の「キャリコンが考える相談者の問題」(以下、相談者の問題)は、技能士検定などからも分かるように、厚労省「キャリア形成の6ステップ」に沿ったものとわれわれは考えています。

6ステップは、1)自己理解→2)仕事理解→3)啓発的経験と続きますが、最終ステップ6)仕事への適応に向けて、前提となるのは自己理解と仕事理解です。この2つはステップ分けされていますが、車の両輪のようなもので、多くの相談者がつまづいているところです。

事例からすると、コミュニケーションが問題だったり、将来が不明確でキャリアプランに問題があると思えることもあるでしょう。

ですが、自己理解・仕事理解があってのコミュニケーションでありキャリアプランであるとプロは考えます。これが合格者に求められる視点です。

余談になりますが、JCDAの「問題解決(志向)」は事柄のみに着目した表面的な対処で相応しくないもの。協議会ではこのように用語によって明確化されたものはありませんが、私はコミュニケーションやキャリアプランのみを問題にする視点に表面的な対処を何となく感じます。こうした意味で、両機関共々、出題や評価の違いはあっても、キャリアコンサルティングに対する本質的な立場は同じなのだと思っています。

さて、「①相談者の問題」を答えるに当たって悩ましいのが、解答スペースです。2行しかありません。(どうやって書けって言うんだ!と叫びたくなりますが、そこは落ち着いて、節度を持って・・・)裏を返して出題者の意図を考えてみると、相談者の問題はそれほど詳しくなくても着眼点さえ分かればいいよ、理由は別に書いてもらうしね、といったものかもしれません。

まあ、いづれにしても時間内に解答文にしなければいけませんので、ここは覚悟をもって解答作成を進めましょう。

作戦としては、まず自己理解面を、次に仕事理解面を書く、事例の内容に沿ってコミュニケーションやキャリアプランのウエイトが高ければそこにも触れるという構えが成り立つかと思います。

「②その根拠」もスペースは3行です。以前は①と②が同じスペースでしたので、それなりに自由度も高かったのですが、スペースが分かれたことで書きにくくなった面もあります。

また、②は「相談者の言動を通じて」との条件です。ここは「相談者の問題は相談者の言動に現れる」という原則が思い浮かびます。従って、問題を連想させるフレーズ(言動)を抽出し、自己理解、仕事理解、その他(コミュニケーションやキャリアプラン)に分類していきます。

その上で重要度に沿って解答文に載せていけばいいのではないかと思います。

尚、解答スペースを考えると、「①相談者の問題」を一番問題だと思っている点に絞って記載、「②その根拠」は絞った問題点のみの根拠とする手もあるかと思います。確かにこうすれば解答文も作成し易くなりますね。

但し、技能士検定も含めて協議会の採点傾向を考えてみますと、一点集中的なものよりも多角的な視点を重視しているのではないかと思われます。ひとは複雑で多角的な存在です。問題はひとつではなく、複合的なもの、いくつかの問題が作用し合ってそのひとの問題を形成している!との声が私には聞こえてくるのですが・・・いかがでしょうか。

あれこれ悩ましいところをお話してきましたが、解答文は事例記録の内容次第です。内容に沿って、自己理解・仕事理解面で相談者の問題がはっきりしているのであればその点(「その他」の面はメインとして取り上げない方がいいかと。)を、いろいろ問題が有りそうだなと思ったら多角的に自己理解+仕事理解(+その他)を取り上げてみたらどうでしょうか。(解答例作成の際、出題回によって私もどちらにするか迷うことが稀にあります。)
(つづく)


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(論述試験)目指せ40点!(2)

国家資格キャリアコンサルタント試験の論述試験において、50点満点中40点以上を目指していただきたいとの思いから書き連ねる第2弾です。

受験生の中には、論述は70%、つまり35点取れればいいやとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、論述試験への理解は面接試験に大きく影響しますので、仮に論述試験70%得点に相当する理解レベルですと、面接試験では合格ギリギリになってしまうことも懸念され、苦しい戦いになってしまう心配があります。

論述試験対策は面接試験対策でもある!ということをしっかり頭に入れて、理論面、実践面から実技試験突破のための真の実力を養っていただきたいと思います。


では、今回はJCDAから。問い1は、2つの事例の違いを指定語句を使って答えさせる出題です。この形式はかなり前から続いていますので、すでに対策を立てていらっしゃると思います。指定語句自体も何度も出題されているものがあります。まずは出来るだけ遡ってその意味を確認しておいてください。(ご参考:「論述試験のポイント整理」)

ふたつの事例の違いは、大胆に言えば、相応しい対応と相応しくない対応だと思います。過去の例からすると相応しくない対応が最初に来て、2つ目の事例が相応しいものでしたが、逆の順番で出題されたこともありますので、注意してください。

事例の違いは対応の違いと問題文にあり、出題内容から相応しい対応か否かと申し上げましたが、だとすると、指定語句をどのように使うか、つまり、(何度使っても良いと記載があるものの)どちらの事例の説明に使うかということを最初に決めてみましょう。

こうした手順からも指定語句の理解が得点率アップのための前提条件になります。例えば、「問題解決(志向)」とは、事柄のみに着目し事柄の解決のみを図ろうとするキャリコンにとって相応しくない対応とJCDAでは考えていますので、この点を知らないと大変ですね。

さて、指定語句の振り分けが決まったら指定語句のみで解答の骨子を作ってみます。

骨子が出来たら、それぞれの事例の中からキーワードとなる具体的な言葉やフレーズを使って解答文にしていきます。この様に指定語句の理解をベースに解答を組み立てていけば、さほど時間を掛けずに高得点が期待できるのではないかと思います。


続けて、JCDAの問い2で、各事例の中のキャリコンの応答について、相応しいか相応しくないか、その理由と共に答えさせる出題です。

これは、問い1で、各事例についての対応の違いが見えていれば判断は難しくないですね。理由についても、問い1でそれぞれの対応の違いを評価した視点で解答を作れば良いということになります。

こうして見てきますと、問い1と問い2はセットになっているような感じがします。事例を読みながら、キャリコンは何に焦点を当てているのか、そんな意識で問い2まで一気に解答を進めるのが余裕を持って論述試験を終える近道かと思います。

尚、問い1で、事例の違いは相応しい対応か相応しくない対応かの違い(勿論、解答文の表現は内容によって変わると思います。)と書きましたが、場合によっては先に事柄を確認していく展開とか感情が強く出ている場合には感情の反映から展開していく場合などいろいろ考えられますので、先入観に陥らないようにしてください。このような場合には、問い2が、相応しいか否かという設問ではなくなる可能性もありますが。
(つづく)


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(論述試験)目指せ40点!(1)

国家資格キャリアコンサルタント試験の論述試験が近づいてきました。対人スタイルの面談試験は水もの、まずはひとりで頑張れる論述試験に全力投球してください。

詳しくは当会の論述対策用テキスト「論述試験のポイント整理」をご覧頂きたいと思いますが、各設問に沿って少し考えてみたいと思います。


ではまず協議会から。設問1は、相談の概要、つまり「相談者がこの面談で相談したいこと」を答えさせる出題ですね。そして、「事例記録を手掛かりに」という条件が付きます。

条件が付くと言うことは出題者はその点を重視していますよということです。ですから、この点をしっかり押さえていきます。

さて、「事例記録を手掛かりに」という点ですが、事例記録の内容に沿ってというだけでは不十分だと思います。ここはキャリアコンサルティングの基本を忘れず、正確な言葉使いを心掛けたいですね。

つまり、出来るだけ相談者が使った言葉を使って!というところが押さえどころです。その方が失点を最小限に抑えられ安全かと思います。勿論、解答欄は2行と記載スペースが限られていますので、可能な限り簡潔に書くことも重要です。従って少なくともキーワードはだけは正確に!と理解しておいてください。

尚、問われているのは「相談者が相談したいこと」ですから、「キャリコンから見た相談者の問題」に言及してはいけませんね。あくまでも相談者自身が考える相談ごとです。相談者が考えているということですから相談者の言葉に内容が現れます(面接試験では非言語表現も含まれますが、論述試験ですので・・・)。この点を外さないでしっかり得点してください。


次に、協議会の設問2です。これは、事例記録の中にあるキャリコンが行った質問について、どうしてその質問をしたのか? その意図を答えさせる出題です。意図、つまり、どうしてそんな質問をしたのか?

キャリコンがやってはいけないことは? 誘導、一般的解釈・・・、ですから、何々させるため、あるいは何々を引き出すため、なんていうキツイ表現は避けたいですね。

解答を作る上で考えなけれないけないのは、過程、つまりプロセスだと思います。そこで、みなさんお得意のシステマチックアプローチを考えてみてください。

要するに、当該の質問はシステマチックアプローチのどのプロセスに位置するのか?

過去の出題を見てみると、いくつかのケースが考えられますが、俯瞰して見ると、まず相談者との信頼関係を構築する段階から傾聴に努め、①相談者が相談したいこと、置かれた環境や状況を確認しながら、キャリコンとして考える相談者の問題を見立てていく、こうした過程が「事例記録」に載っています。

つまり、キャリコンが考える相談者の明確な問題は事例記録に無く、設問3として受験生に答えさせる仕組みになっているということです。

そうしますと、設問1で①相談者が相談したいことを答えさせ、設問3でキャリコンが考える相談者の問題を答えさせるわけですから、設問2は、”その間”に何をするか?そこを答えさせる出題と考えるのが妥当かと思います。

そうしますと、ズバリ!キャリコンが考える相談者の問題を見立てるヒントをつかむため、といった解答が考えられます。但し、これだけでは一般的過ぎて十分な得点につながるか甚だ疑問ですので、前後の状況を反映して具体性を加味し、上記のフレーズにつなげる工夫が必要かと思います。

設問1及び2は通常この様な流れですので、内容をしっかり把握し、短時間で質の高い解答を記載する練習を日頃から行っておいてください。
(つづく)


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第15回論述試験・・・私感

論述試験、変わりましたね。特に協議会は、あたかも全面改定の様相です。

このため、受験生からは戸惑いの声がたくさん寄せられました。でも、こうした予想外の出来事は日常に溢れていますので、如何に早く冷静になり、日頃積み上げた実力を答案用紙に反映させるかの勝負だったような気がします。

では、第2回から第14回まで同じ形式だったのに、なぜ今回は変わったのでしょうか? 私なりに考えてみました。

試験主催者側の危惧は「最近、試験対策が普及しているせいか、みんな同じ答え方をする。論述にしても面談にしても画一的過ぎて、果たして本当に学びになっているのだろうか?」ということのようです。

こうした観点から第15回の協議会の論述問題を見てみると、1は相談ごとの全体を把握する設問。

2では「お気持ち」を質問した意図を問われています。日頃、「気持ちを訊かなければと受からない」とだけ念じてきた方には答えにくかったかもしれませんね。「気持ちを聴く」には流れとタイミング、そして意図が必要なんですね。JCDAでは感情や意味という視点からこれらをある程度説明していますが、協議会対策として盲点だったような気がします。なんとなく基本が大事!というメッセージが聞こえてきますね。

一応、口頭試問でも同様の質問が来るかもしれませんので、相談者に質問した場合の意図を答えられるようにしておいた方がいいかもしれません。

次に3、相談者の問題を答えさせる設問ですが、従来は解答欄が4行、今回は問題が2行と根拠が3行です。

問題と根拠が分かれたということは、あれもこれもと問題をいくつも答えるやり方から、「中心となる問題をしっかり捉え、その根拠を明確にする」ということに重点が移ったのではないかと思われます。

最後に4、従来の「働きかけ」から設問3を土台にした支援の「方針」を答えさせる出題。つまり、支援プランといったところでしょうか。

このように見てくると、1.相談したいこと → 2.質問の意図 → 3.問題と根拠 → 具体的な支援方針・プランという流れが見えてきます。これは、まさにキャリアコンサルティングの基本ですね。

であれば、2.の質問の意図は? 自ずと見えてきますね。つまり、相談者の問題やその根拠を見つけるためのヒント探す、といったことになるのではないかと思います。


さて、JCDAの論述試験についての変化は、4「相談者の語りを通じて相談者像を想像し、~その理由も含めて」という条件が付いたことですね。

相談者像とは性格や思考の特徴などですが、それらはその人の語りを通じて現れるという考え方、なんだかナラティブ・アプローチの匂いがしていますね。いずれにしてもお話をよく聴く!ということが出発点になります。


最後に、第15回の論述試験を総じて考えてみると、協議会では「気持ちをきく意図」、JCDAでは「相談者像(人物像)」など、「ひとに焦点」が当たっていてズバリ基本を重視しているなという感じです。そうした意味で、協議会とJCDAは共に歩み寄ってきているような気もします。

そもそも両者は、同じ試験をやってますよ、というスタンスのようですから今回のような傾向が見られても不思議はないですね。

試験に王道無し、本当の実力をつけるステージが始まったのかもしれません。

私ももう少し分析し、第16回用の論述版テキスト「論述試験のポイント整理」の改訂に取り掛かりたいと思います。

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