キャリコン実技試験

「相談者役」も人間だァ

いよいよ、面接試験が近づいてきましたね。そこで「相談者役」のことを、私なりに、勝手に、考えてみたいと思います。

相談者役は、JCDAの場合、キャリアコンサルタント及びCDAに募集を掛け、一定の条件の中から選考面接を行い、研修を経て、試験業務(つまり、相談者役)に就きます。

事例はあらかじめ決められられたものですが、相談者役には、情報漏れ対策として、試験開始直前に渡されます。従って、相談者役は短時間で内容を理解する必要が出てきます。

という「推測」を前提に考えてみますと、

1)事例内容を漏らさず理解しているか不安だァ!
 面談が始まり、話を進めていかなければいけないが、間違ったらどうしようという不安は常につきまとっていると思います。

 国家資格という大切な試験、自分も受験の時に大変な思いをした。私のせいで試験を台無しにしてしまったらどうしよう?と、緊張感は受験生に劣らず高まっていることでしょう。落ち着いているように見えてもきっとそうだと思います。だって、人間ですから。

2)突っ込まれたら大変だァ!
 事例を細かく理解する時間が無いとすれば、やたらに質問され、突っ込まれたらどうしよう?と思う筈です。話が進んで、つじつまが合わない点が出てきたら・・・。

 最初に事例を渡された時、相談者役はその事例をStoryとして理解する筈です。現在こういう状態で、この点に困って相談に来た。周りはこうであり、こんな気持ちになっている。背景にはこんなことがあり、それらが〇〇という考えになっていて、どうやらそこに問題がありそうだ。

 よし、それではこういう流れで話を進めよう。ですが、最初からいろいろ質問が飛んできて、あらかじめ考えていたStory通りには進められない。どうしよう!少し話すのを止めようか・・・と思っても不思議はありませんね。だって、人間ですから。

3)こいつはやりにくい?、不合格だァ!
 反応が無く、表情も硬い、目線がどこまでも追いかけてくる。質問に答えてもまた質問。ズバズバ入り込んできて、すぐに「お気持ちは?」と訊いてくる。一体何を考えているのかこの受験生は!やりにくい。

 さっきの受験生は良かった。ちゃんと話を聴いてくれて、こちらのペースで進められ、話し易かった。あんな人に相談してみたい。それにひきかえコイツは!

 と、思うかも、しれません。相談者役として中立の立場で試験業務を遂行するよう研修を受けた。受験生を評価してはいけない、評価してはイケナイ、絶対に、ゼッタイに・・・。でも、コイツは不合格だァ!!と叫びたい!だって、人間ですから。

4)私だって人間だァ!
 「相談者役」も大変ですね。きっとこんなことを言って見たくなるのではないかと思います。

 分かっていても出来ない、それが人間ですね。葛藤、こころの動きが人間を創っているとも言えます。不思議なるもの”人間”、ここが対人支援の原点です。

 公平さを目指しつつも人間的な要素は無視できませんし、恐らく間接的には合否に影響してくるのではないかと思います。

 そういった点からも「相談者(役)」を良く観察し、安心して「相談」して頂ける配慮が、良い結果につながるのではないかと思います。


実際のご相談でも勿論、相談者を観察し、置かれている状況に応じて対応を変えていきます。固いようであれば柔らかい雰囲気をつくり、険しい話であれば真剣に受け止めます。

必要な質問だと思っても、嫌がっているようであれば、止めます。行き詰ったら、話題を変えて気分転換を図ります。これは全て相談者への配慮ですね。

上手くやろう、合格点を取ろうと思ったら本末転倒ですよ。罠にはまらないで下さいね。あくまでも相談者(役)のことを考えるのが基本です。

試験でもきっとそうなんじゃないかな。そう思います。

試験委員もこうした配慮が出来るか否かをチェックしていることでしょう。
だって、試験官だって人間ですから。

新たな動きと面接対策

JCDAとキャリア・コンサルティング協議会。ふたつの試験機関の違いや差がやはり問題視され、合格率に代表されるような格差の是正が課題になってきているようです。

そこで、厚生労働省を中心に検討が進められている訳ですが、トピックスとして、「スタートラインに立てるか」ということが明確になってきました。

少しご説明が必要ですね。

国家資格化の動きの中で、キャリアコンサルタント試験は、技能検定1級(指導レベル)・2級(熟練レベル)の下位に位置し、「標準レベル」とされています。

そこで、じゃあ「指導レベル」「熟練レベル」と「標準レベル」の違いは何かと言うと、簡単に言ってしまえば、前者が磨かれたダイヤモンドだとすれば、後者(キャリアコンサルタント)は、ダイヤモンドの原石ということになるのではないかと思います。

つまり、国家資格キャリアコンサルタント試験は、現在保有している能力が実践で通用するか否かという視点ではなく、「将来、プロとして、キャリアコンサルティングを行えるようになれる可能性があるか否か」という視点で評価されるということです。

こうしたことから、資格取得後に研鑚を積み、資格更新条件をクリアして、プロに育っていくというプロセス(「登録制度」)が用意されています。


これは、どういうことかと言うと、実技試験で必ずしも上手く出来なくてもいいということになります。

それよりも重視されるのは、資格取得後の研鑚・資格更新によって育っていく可能性があるかどうか、ということですから、基礎・基本がますます問われることになる訳ですね。

従って、小手先で魂の抜けた面談をやろうとすると、見抜かれてしまうかもしれません。それよりは支援者としての基本姿勢、自己理解を伴った人間力といった面に着目する必要があるのではないかと思います。

考えようによっては素質を見分けようとする難しい試験とも言えますが、基本をしっかり理解しておけば怖れることは無いとも言えます。

テキスト』で言いますと、5-2.キャリアコンサルタントの対応「3つの態度条件」をベースにした「傾聴」はしっかり押さえておいてください。

また、この点は口頭試問でも試されます。「出来たこと、出来なかったこと」を正しく把握できているか、主訴・問題を正しく捉えているかは、まさにプロになれる可能性があるか否かのチェックポイントになります。特にJCDA受験者は主訴・問題について『テキスト』で確認しておいてください。


一方で、従来のCDAとの関係も気になります。JCDAとしては「CDA」を「スタートラインに立てる」レベルとは考えていなかったのではないかと思います。むしろ即戦力としての有資格者ですね。

実際、第一回目のキャリコン試験や従来のCDA試験を見てみますと、要求レベルは上位にある様な気がします。

そうなってくると、キャリコン/標準レベルとして格差を是正するということは、必然的にCDA資格のレベルダウンを強いられることにもなる訳で、ジレンマになりそうですね。

従って、しばらくはこの調整が続きそうですし、今後の動向が注目されるところですが、まずは第2回試験に向けて「スタートラインに立てるレベルにあるか」の試験であることを頭に入れておいてください。

強みと弱み

人には「強み」と「弱み」がありますね。気づいている、いないにかかわらず、殆どの方にはこのふたつのものがあると思います。

現状や進路に迷う時、ひとはストレスを感じます。その時こころにあるのは自分の弱さです。逆に、順風満帆の時には、高揚感もあり、きっと強みが意識されていることでしょう。人生には山あり谷あり、ひとは強みと弱みの間で揺れ動く存在だとも言えます。

ご相談に来られる方は、ストレスを抱えた状態ですから、 内側にあるのは弱みですね。ですが、厄介なのは、身を守るために防衛本能が働くということです。従って、多くの場合、最初から自分の弱みについて語られることは殆どありません。それが語られるためには、ある程度の時間とお話を聴いて頂ける方の寛容さが必要になります。


さて、ひとは遠い昔から悩みと共にあり、何とかこの状態から脱出したいといろいろな方法を考えてきました。乱暴に言ってしまえば、たどり着いた方法は二つです。ひとつは弱みに向き合う方法であり、もうひとつは強みに向き合う方法です。

悩みに向き合い、弱みに向き合い、何を悩んでいるのか、その悩みはどこからくるのか、そういったことを一つひとつ確認して弱みを克服する。

ですが、弱みに向き合うのは時間がかかるし、無限ループに落ち込んで脱出できないこともある。

それだったら、気持ちを切り替えて強みに着目し、自信を取り戻しながら新しい気持ちで進路を選択していく。こうした方法も当然考えられるわけですね。


このように考えてみると、

JCDAは、否定的自己概念という弱みに向き合うという点で前者に似ていますね。否定的な自己概念のルーツをたどる、つまり経験を再現することによって弱みの原点を見つけます。

原点を見つけることができれば、自分の弱みを受け入れることが出来、新しい自分へと成長することができます。「弱みを知る」ということは「強みを知る」ことと同じくらい力を持つことになるんですね。そうやって、自分の足で歩いていくことが出来るようになる。

キャリア・コンサルティング協議会は、後者の方かもしれません。弱みに向き合いますが、原点を突き止めるところまで深追いせず、前を向いて強みやセールスポイントの発見に努めていきます。

経験を振り返ることもしますが、それは強みを見つけるためで、重点はこれからどうするかといった目標や方策に置かれます。


両者とも弱みや強み、過去や未来に向き合う点は同じです。そういう意味で、傾聴は欠かせません。

ですが、アプローチには違いがあります。カウンセリングにしてもコンサルティングにしても考え方や理論はたくさんありますので、共通点の理解とアプローチの違いはきちんと整理しておいた方がいいと思います。

もうすぐ試験・・・

いよいよ第二回論述試験まで2週間を切りましたね。論述試験は「得点源」ですから、準備だけはしっかりやっておいてください。やっただけ効果があるはずです。

また、準備と言う点で言えば、論述試験の受け方、解答の仕方といった受験術も大きく影響しますので、自分なりに作戦を練っておきましょう。

キャリコン実践研究会でも「論述試験対策講座B」として、戦術や予想問題を用意し、全力で受講生のご支援をしたいと思っています。

開講日は11月17日(木)19:00~20:30で、試験直前となりますが、プラス5点~15点を目指した講座にしたいとがんばっていますので、ご都合がつく方は「テキスト」をお求めの上、お申込ください。
『テキスト』のお申込
『論述試験対策講座B』のお申込


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さて、もうひとつ気になるのは面接試験ですね。こちらも近づいてきました。

最初に確認しておきたいのは、カウンセリング/コンサルティングの答はひとつではないということです。では、答はどこから来るか、ということですが、それは相談者のお話からということですね。

言い換えれば、相談者の数だけ答があるということになりますし、お話を聴かなければ答は見つからないということです。

学問や理論の世界は、そこを何とか、共通するもの、普遍的なものをとがんばる訳ですが、それでも理論は数百に及ぶと言われています。

なぜ、こんなことになるかというと、表面的な現象で問題が見つかる例は珍しく、多くは見えない問題と言うか、表面的な問題を引き起こしている要因や遠因といった”根っこ”がどこかに隠れているからなんですね。(面接試験でも同じかと思われます。)

その”根っこ”は経験や各種環境だったりする訳ですが、相談者ご本人が気づいていない場合が殆どですので、表面的にお話を聞いているだけではなかなか感じ取ることができません。そこに面談のむずかしさがあります。


受講生の面談を拝見していると、まず理論面の理解が足りないケースが見受けられます。こういう方には、理論面、基礎・基本面、あるいは手順面から、こうあるべきというお話をします。

その点をご理解いただけると、次に、手順面が先行し、頭に入った手順を面談に当てはめようとするケースが時々見受けられるようになってきます。こういう方には、頭を空ッポにして、相談者のお話を聴いて、とお話します。

一見矛盾したご支援をしているようですが、受講生のレベルや理解に応じた支援が大切だということですね。つまり、問題が相談者の数だけある様に、支援方法も受講生の数だけあるという訳です。

そういった意味で、できれば4回位ご受講頂き、さまざまな角度からご支援させて頂きたいと思っています。


さて、面談の臨み方という点で考えると、プロセス(手順)面とストーリー(お話)面があるのではないかと思います。どちらも流れがありますが、重要なのはどちらがメインでどちらがサブか、ということですね。

先程の話は、こういったことを言っていると思って頂ければ分かり易いのではないかと思います。

まずは、相談者のお話に集中し、(背景を含めた)ストーリーを理解することが第一です。相談者のお話される世界にお招きいただければ、ストーリーがだんだん見えてきます。すると、なにか影らしきもの、曖昧なものが見つかってきます。それが”根っこ”にたどり着くヒントですが、そこに問い掛けてみる。そうすると、やがて、相談者に気づきのチャンスが訪れる。

メインとサブが逆転してしまい、手順に沿ってお話を「進めよう」とすると、お話から逸れてしまい、ストーリーが見えて来ません。お話を理解できた上で手順を考えないと、返って傾聴が出来なくなってしまいますので、十分注意して下さい。

質問しちゃいけない?

「質問しちゃいけないんですか?」
「そんなことはありません。」

よく、こんなやり取りがあります。
ですが、「質問しないでやってみましょう。」と言うことはあります。


紛らわしいでしょう。ですが、「質問しないで」ということは時々あるんですよ。それは、その方の質問が傾聴の障害になっているように感じられる場合です。

まだ本格的に面談手法を学ばれていない方に多いようですが、話を進める為に質問する。質問したのにその答が返ってきてもそれを聴かないで次の質問を考えている。相談者が答え終わってもその返答には触れず、次の質問をする。

相談者は何のために答えているのか分からなくなってくる、何のために相談しに来たのかと疑問に思えてくる。だんだん嫌になってくる。相談者の顔がこわばり、返答が短くなってくる。

焦る、そして益々質問を考える時間が長くなる。かくて、面談は終わり、後日、不合格通知が来る。

眼に見えています。ですが、あなたの質問はダメですよ、こういう質問をしてくださいという訳にはいかない。画一的にフレーズだけを覚えても、きっと次のフレーズを思い出す努力をするだけで終わってしまいそうです。

問題はお話を聴くことが出来ていない、つまり傾聴が出来ていないという基本にあります。

基本が分かっていないから不安になる。だからお話だけを続けさせることが目的となる。内側にあるのは「恐怖」かもしれません。沈黙に対する「不安」であり、沈黙されることによって自分自身の存在が否定されるという「恐怖」。

  この「不安」や「恐怖」は防衛本能を呼び覚まし、「私は仕事でいろいろ
  質問してきたので」といったお話につながります。「質問することが仕事
  だった職業人」という自己概念ですね。

ですが、こういったことは私にもありますし、誰にでも少なからずあることです。それが人間です。ですから、そのこと自体を問題にするのではなく、傾聴が出来ていないという点に焦点を当てなければいけません。

もうお分かりかと思いますが、
「質問」自体が悪いのではなく、お話を聴かずに「質問を”考える”」ことが問題なんですね。

CIMG7213冷静に考えてみると、話が途切れ、自分が何も出来なくなるのが怖い訳ですから、その恐怖を取り除くことを考えれば良い訳です。

つまり、質問の代わりになるものが見つかれば良いことになります。

そこで、「相談者の話」を「正確に伝え返してみましょう。」と提案します。その他は何もしなくていいから、相談者が使った言葉を正確に返してみてください。それだけで結構ですと。

そうすると、質問を考えるストレスから解放されますので、だんだんお話が聴けるようになってきます。言葉を正確に返さなければいけませんので、お話に集中できる。集中できればお話のストーリーが見えて来ます。返す言葉に非言語も乗ってくるなど好循環が生まれてきます。

こうしてやっとスタートラインに立つことができ、ここから本格的に面談手法を身につけていくことになります。ですから、最低でも4回のロープレを拝見させて頂きたいと皆様には申し上げています。

以上、われわれのご支援の一例ですが、なかなか的確な質問をするのは難しいものですね。


質問はとても重要な手法です。的確な質問が出来れば中級者だと言ってもいいでしょう。それだけに、何の基礎もできていない初心者が質問を乱発すると、とても危険です。まずは、基本の「傾聴」を理解し、伝え返しを習得し、面談の構造が見えてきたところで、質問を活用する位の余裕がほしいところです。

相談者のお話を集中して聴くことができれば、「質問は”浮かんで”きます。決して、”考え出す”ものではありません。」このへんが中級たる所以ですので、しっかり基礎を大事にしてください。

質問は、相談者が話されたテーマについて行うことが基本であり、それが「言語的追跡」です。ですから、お話を聴かないと質問が浮かばないのは当たり前ですね。どうかこの順序をしっかり押さえておいてください。

(ホームページ)
キャリコン実践研究会

やっぱり「傾聴」ですね。

やっぱり、「傾聴が大事」というお話を少し。

「傾聴」は大事ですね。キャリアコンサルタントを目指す方であれば誰しもそう思いますよね。

ところが、評価を受けてみると「傾聴が出来ていない」と言われる。自分では「出来ている」と思っていても、「出来ていない」と言われる。

一体、「傾聴」って何なんでしょうね。???

きっと、「イメージした傾聴」と「真の傾聴」は違うんでしょうね。通学コースに行っても、「ハイ、これが傾聴です。」ってなかなか納得がいく説明は得られなかったようような気がします。

ん~、ちょっと違いますかね。「傾聴とは」という説明はあるけど、どうやったらいいかの具体的な説明が無い、と言った方がいいのかもしれません。

だから、自分なりの”やり方”で、自分は傾聴が出来ていると判断してしまう。そして、「どうしたらいいかが分からない」ということに気づけない。結果として、何度も過ちを繰り返してしまい、挙句の果てに受験を諦めてしまうことだってある。

「支援の基本スタンス」は「傾聴」です。ですから、論述試験でも面接試験でも「傾聴できているか」は大きな評価基準になっています。これは、キャリア・コンサルティング協議会でも、技能士検定でも同じです。

第1回の試験は「方策」寄りになるのではとも思いましたが、実際には「傾聴重視」の試験に変わりはありませんでした。

IMG_0612それにしても・・・、傾聴、傾聴と言うけれど、一体何を聴けばいいんでしょうね???

最初の課題は「傾聴」でした。

そこで、無条件の肯定的配慮や共感的理解、マイクロカウンセリングなどを徹底的に分析してみました。

細かく分解してみると、やっと見えて来たものがあります。そこをどう伝えるか、受験生のご支援を体験しながら、われわれなりにノウハウとして積み上げてきました。

そこで改めて思うのは、「『傾聴』を身に付けるには理論的理解と訓練が必要だ」ということです。

例えば、傾聴とは人に寄り添ってお話を聴くことだと言ったとしても、「人に寄り添うやり方」がその人なりの考えに基づいたやり方であったらほとんど通用しません。それだったら国家資格なんて意味がありませんし、そういった相談好きな方はたくさんいらっしゃいます。

国家資格キャリアコンサルタントはプロです。世界で認められたキャリア理論やカウンセリング理論をしっかり身に付けた専門家でなければいけません。その一環としての「傾聴」が求められています。

こうしたことから、しっかりした理論を背景にした「真の傾聴」を是非、身につけて頂きたいと思います。そして、それが目指すキャリコンへの道だと思います。

 ※「理論」というのは、普通思いつかないことで大切なことに気づいたから
   ”理論”になったんですね。言い方を変えれば、普段やらないことでもあ
   るので、理論として周知した。ここに学ぶ意味があります。勿論、理論
   はいくつも有りますし、最近は折衷主義と言っていくつかの理論を併行
   活用するのが主流です。

われわれがはじめてロープレを拝見し、「良く出来ています。」と言える方はほとんど居ません。それは、ご本人が悪いのではなく、理論に基づいた正しい「傾聴」を教えてもらえなかった、その機会が無かった、学んでこなかったということだと思います。

われわれの理解もまだ途上で、学ぶ点は尽きません。ですが、一緒に学ぶという観点からキャリコン試験合格を目指した支援は出来ると思っています。

また、「真の傾聴」を身に付けることによって、面談が見違えるようになります。

折角、プランをお持ちになってキャリコンにチャレンジしたいと意思決定されたのですから、素質十分です。訓練次第で必ず合格にたどり着けると思います。

キャリアコンサルティングの基礎・基本は「傾聴」にありますので、なかなか進歩が感じられないと思うならば、「傾聴」に立ち戻ってみてください。そして、「真の傾聴」を学び直してください。きっと光が見えてくると思います。


キャリコン実践研究会」では、「傾聴」の重要性を再認識し、『傾聴基礎講座』を復活させました。講座では、緊張対策や面接試験で重要な面談の入り方、具体的な伝え返しなども取り上げます。

残った日程は「11月6日(土)12:05~13:35」となり、お席も少なくなってきましたが、ご都合のよろしい方は是非ご受講ください。尚、ご受講には「テキスト」(PDF86頁)のお申込が必要になりますが、傾聴の理論面をカバーする上で必須事項満載ですので、両輪と考えていただければ幸いです。

国家資格キャリコン試験第1回合格者発表

国家資格キャリアコンサルタント試験の第一回合格者が発表されましたね。

(JCDA)
https://www.jcda-careerex.org/result.html

(キャリア・コンサルティング協議会)
https://www.career-shiken.org/result.html

CDA試験と違って、上記サイトで合格者の受験番号が確認できます。(併せて、受験者全員に合否通知書が送付されるようです。)

両機関を比べると、驚きの結果ですね。
(JCDA実技試験)
受験者数1,376名 合格者数709名 合格率51.5%

(キャリア・コンサルティング協議会実技試験)
受験者数1,000名 合格者数716名 合格率71.6%

合格者数はほぼ同じですから、ここら当たりがひとつの合意事項だったのでしょうか? その結果、受験者数に違いが有って、合格率の差につながっている?

2つの試験実施機関という特殊性でしょうか、評価区分も違っていて、別々の実技試験で、合格率が大きく違っている。

真剣に資格取得に取り組んでいる受験生としては、なんだか割り切れないものが残りますね。

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冷静に考えてみましょう。

ます、気になるのが、AかBかどっちが簡単だったんだろうということですね。単純に考えれば合格率が高い方が簡単、ということになりますが・・・。

内訳を見てみますと、
論述の平均点は、34.2と33.8( 50点満点)
面接の平均点は、54.3と62.6(100点満点)
ですから面接で差がついたことが明らかです。(但し、平均点は受験者の平均なのか合格者の平均なのか明記がないので断言はできません。ですが、恐らく受験者の平均だと思われます。)

また、経過措置対象者の合格率は、51.7%と69.2%で、このへんに合格率の差が現れているのでしょう。

とすると、JCDAでは、想定した技能士2級とは違った試験(従来のCDAに近い出題)への戸惑い? CDA合格率(40%程度)の踏襲? といったことが浮かんできます。

一方の協議会受験者は、技能士2級ベースの準備がある程度奏功したのではないか、従って、面接試験での戸惑いも少なかったと思いますし、技能士受験経験者も結構いらっしゃったのではないかと思います。

個々の合否やお話をお伺いした上で、もう少し分析したいと思いますが、発表された数字を見るとそんな感じがします。


では、次の第二回はどうなるのでしょうね。気になるところです。そして、試験機関側としても今回の結果からいろいろ調整してくるのではないかと思います。つまり、揺れ戻しが考えられますね。

まず考えられるのは、Aが簡単になって、Bが難しくなることですが、どちらで受けるにしても特徴を把握し、試験機関に合った準備をすることが大切かと思います。

※当会受講者の方は合否をお知らせください。

第一回論述試験(2)

第一回論述試験の設問2は、2つの事例の違いについて問うものでした。

8月23日のブログでは「支援の基本スタンス」を自己理解/仕事理解という面から捉えてみましたが、別の見方ができないか考えてみました。

そこで、もう一度厚生労働省の資料に目を通してみますと、”最も基本的で最も重要なことは「まず、人の話が聴ける」という相談者のスタンスであることは言うまでもありません”という文章に行き着きます。

このことからすると、『支援の基本スタンス=傾聴』という図式が成り立つのではないかと思います。

また、JCDAの合格基準/評価区分のひとつにも『傾聴』が挙げられていますので、基本としての『傾聴』は疑いの無いところでしょう。

では、『傾聴』を支援の基本スタンスと考えてみますと、2つの事例でどんな「違い」があるのでしょう。

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2つの事例の出だしはほぼ同じですね。ただ、「就職を考え直そうか」という相談に対して、「転職を考えているんですね」/「辞めて就職ですか」と双方とも多少早とちりをしており、十分に傾聴が出来ているとは言えないようです。

ひょっとして、試験問題として取り上げられている事例は、決して専門家の逐語ではなく、発展途上の受験者/合格者レベルの事例なのかもしれません。(余談ですが)

さて、その後の展開ですが、どちらも文脈に即した流れになっており、15分以降の展開を考えれば、ここまでは決して悪い展開ではないと思います。(勿論、JCDAと協議会では見解が分かれるかもしれません。)

そこで、事例の違いを探してみますと、「『辛い』という感情に対する応答」が挙げられそうです。
事例Ⅰ:「契約が取れないのは辛い」→「ずっとやらされているのですか?」と事柄や状況に着目。
事例Ⅱ:「辛い?」→「辛いと言うのはどういうことですか?」と意味に着目。
ということになるのではないかと思います。

ここで、事例Ⅰは質問で、Ⅱは問い掛けですね。

少し難しくなりますが、思索を促すあるいは意味を考えてもらうのが問い掛けと考えれば分かり易いと思います。

「問い掛け」までを含めた『傾聴』を考えるならば、ⅠとⅡでは傾聴の質の違いということが言えるかもしれません。詳しくは「講座」でご説明したいと思いますが、こんな見方もできるかと思います。


それにしても、2つの試験機関から2つの試験問題。そして、2つの採点。もし、別々の判断になっていたら・・・。もし、相互に問題を交換し、採点してみたら・・・。と改めていろいろ考えさせられます。

ん・・・、2つの試験機関は本当に独自の試験をやっているのでしょうか。最低限の合意事項といったものは無いのでしょうか。もう少し考えてみたいと思います。

キャリコン実践研究会

論述から面接へ

ご承知の通り、論述試験と面接試験は共に実技試験に含まれ、両者が表裏一体であることを表しています。

論述試験は「キャリアコンサルティングの基本をちゃんと理解しているか」その点が問われる試験ですね。

ですから、「相談者が相談したいことって何?」 また、「本人が気づいていない本当の問題って何?」という点に答えられなければいけません。

そして、そうした理解のもとに、次の段階として、「では、相談ごとをより良い方向へと導くために、このあたりを目指していったらどうでしょうか」という提案が求められます。

更に、「そこを目指すためには、こんな方策があるんですがどうですか?」といったことまで準備できるといいですね。キャリコン実践研究会では、試験対策としてこの段階までを視野に入れ、『レジュメ』や各種講座をご用意しています。


論述試験で基礎の理解をアピールできたら、次はその基礎通りに「面接」ができるか、ということになります。

面接と言うと、皆さんご苦労されるのが、”目標の提案”ですね。論述では解答できても、いざ面接となると上手くいかない。なぜなのでしょう?

ひとつには論述試験の準備不足。傾聴だけで15分を使い、目標・方策が出て来ません。CDA受験経験だけでキャリコン試験を受けようとする方に多いような気がします。

次に、いきなり方策の提案がが出てくるケースです。これは、目標と方策の識別が出来ていないことが原因かと思われます。目標を共有できてこそ、先に進めることになりますので、この点をしっかり整理しておいてください。

それから、目標は提案できるけど、なぞそこを目指すのかの説明が無いケースです。これは大変勿体ない。「各ステップを明確にしながら進める」のが基本ですから、お伺いしたお話を受けて、なぜここを目標にするのか、丁寧に説明を加えた方がいいと思います。

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もうひとつ忘れてはいけないこととして、紙に書くこととひとに向き合うことの違いが挙げられます。

紙に書く論述試験では、文字通り自分の見立てを文字にし、根拠を明確にして、筋の通った内容にすればいいでしょう。

ところが、面接試験では相談者に向き合わなければいけない。つまり、相談者の状態を観察しながら、相談者のペースで進めていく必要があります。

決して評価的にならず、誘導にならず、相談者への思いやりをもって接する人間力が必要になってきます。

論述試験を基礎と考え、その基礎を活かせるような「面接」を考えてみてください。そうすれば結果は自ずとついてくるのではないかと思います。

面接15分の使い方

第1回目のキャリアコンサルタント試験。CDA試験と比較するといろいろ心配な点が浮かび上がってきます。

そのひとつが時間ですね。5分長くなって15分になりました。そこで、この15分をどの様に考えるか、10分プラス5分でいいのか、ということを少し考えてみたいと思います。

受験のお手伝いを始めてみて、皆さんが戸惑われているのは、「何をするのか?」「何をしたらいいのか?」が整理できていないということではないかと思います。

そこで、教科書とすべきは、「厚生労働省の資料」です。ここを出発点にすると良いでしょう。国家資格ですから国の意向が反映されるのは当然ですね。

この教科書のなかで、まず考えなければいけないのが、「キャリア形成の6ステップ」にある「自己理解」「仕事理解」です。この言葉の意味するところ、守備範囲を上記資料でしっかり押さえておいてください。

また、コンサルティングの流れとしては、上記2つの理解の後、行動(啓発的経験)し、目標について意思決定し、方策を実行するということになります。

そして、支援の始まりが「面接」です。

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面接については、カウンセリング手法として既に学ばれているかと思いますが、最初にやることは「関係構築」です。従って、15分の内、最初の5分位をこの関係構築に使う感じですね。となると、これはCDAなどと全く同じ入り方です。つまり、受容・共感による「傾聴」です。

この傾聴を通じて、相談者が何を相談したくて来談したのか、相談者の周りでどんなことが起きているのか、などを把握していきます。

ここで、注意しなければいけないのは、まだ細部に入って行かないことです。あくまでも概要を捉える、概要をとらえながら、本当の問題はどこにあるのかとアタリをつける、といったイメージです。

次の5分は、このアタリをつけた部分について一歩踏み込んで確認してみます。そして、自己理解や仕事理解についてどの程度出来ているのか、その他不足していることはないか、などを確認します。

最後の5分は、(ここが従来のCDA試験と違ってくるところですが)相談者がご相談したいことについて、何を目標にしてこれから手を打って行くのか、その点の提案を行うことになります。

ただ単に目標を提案しても上手く行かないかもしれません。ちょっとしたコツが必要になってきます。このへんがキャリコン試験のポイントかもしれません。

また、キャリアコンサルタントとしては専門性が問われますので、続く方策の提案についても説得力あるものになっていなければいけません。そうした意味で、キャリア理論を活用できるようにしておくといいですね。

このような流れで面接試験ができたら合格点がもらえるのではないかと思います。合格の為の基礎・基本・対策は『レジュメ』にまとめましたが、各種講座を進めながら、個別のロープレを拝見しながらいろいろコメントさせて頂いております。

宜しければ、『レジュメ』をご一読頂いた上で、各種講座をお受け頂ければと思います。

是非一度、「キャリコン実践研究会のHP」及び「Facebook頁」をお訪ねいただければと思います。

(お断り)本内容は合格を保証したり、唯一の答を示すものではありません。ご活用いただく場合にはご自身の判断でお願い致します。
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