キャリアコンサルタント Days of Life

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「問題」って何だァ!(3)

2回にわたってJCDAがとらえる「相談者の問題」を確認してきました。そこで、今回はJCDAとは違った問題のとらえ方をするキャリア・コンサルティング協議会について見てみたいと思います。

ご承知の通り、キャリア・コンサルティング協議会はキャリア・コンサルティング技能検定(技能士試験)を実施していますので、問題のとらえ方としては技能士試験と同じ視点を持っていると考えられます。

そこで、参考になるのが、厚労省の「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会報告書」や「キャリア・コンサルティング技法等に関する調査研究報告書の概要」(いわゆるマニュアル)です。(要点については当会「キャリコン実践研究会」の『テキスト』にまとめていますので、お持ちの方は参考にしてください。)

上記マニュアルには「キャリア形成の6ステップ」が載っています。そして、キャリアはこの6つのステップを通じて形成され、キャリア・コンサルティングはこれら各ステップを通して支援するものとされています。

そうすると、キャリアを考える場合、各ステップについてどの程度出来ているのかをチェックすることから支援は始まります。チェックした結果、形成が不十分だったら、それが「問題」です。

6つのステップの最初のステップは「自己理解」です。自己理解と言っても大変に広いわけですが、
 1)職業興味や価値観といったキャリア志向性
 2)過去の経験
 3)職業能力等
 4)個人を取り巻く諸条件
といった分野になります。

お話を聴きながら、興味や価値観はどうか、経験についてはどうか、仕事上の能力は、と確認していくわけですね。但し、質問の連続では話したいことが話せませんので、受容・共感しながら上記の達成度を感じ取ることも重要です。このへんは協議会、JCDAに限らず、キャリコン共通の傾聴姿勢がポイントになります。

このように、問題を幅広くとらえようとしますので、JCDAの様に根幹となる問題を探すというよりも、網羅的で、問題は複数になることが殆どです。職業興味や価値観についてはある程度自己認識しているが、過去の経験については十分整理されていない。ノウハウもあるはずなのに自分の強みが分かっていないということであれば、「経験の振り返りが不十分で、自分の強みについての自己理解が不足している点が問題」ということになります。

更に、実務能力についての理解はあるが、管理能力についての自己理解は不十分ということであれば、その点も「問題」に付け加えていいでしょう。

また、同時にキャリアは仕事がテーマですから、第2ステップである「仕事理解」も面談の当初から話題に上がってきます。「仕事理解」は、
 1)仕事の責任と内容
 2)作業環境と条件
 3)従事者の資格・要件
から、14)追加情報の資源まで幅広くありますので、上記マニュアルで範囲を確認しておいてください。

尚、協議会でも”2つの問題”があります。
イ)相談者が相談したい問題
 相談者が感じている問題です。”相談ごと”として冒頭から出てくることでしょう。キャリコンとしては、まず受容です。そして共感。 

ロ)キャリコンが考える相談者の問題
 これが「真の問題」です。相談者が気づいていない問題ですから、キャリコンが見立てていくことになります。そして、論述試験や口頭試問で問われるのはこの「真の問題」です。 内容は、上記の通り「自己理解」、「仕事理解」となります。

以上見てきました通り、キャリア・コンサルティング協議会とJCDAでは「問題」のとらえ方が全く異なります。受験機関と問題のとらえ方を間違えたらアウトですね。受験指導機関では片方に片寄った指導をしたり、両者を混同して指導しているところもあるような噂をききますが、まずはしっかり受験機関に合わせた問題の把握をしてください。

「問題」については以上ですので、ここで終わりにしたいのですが、ここまで来ましたので、次回、オマケを少々記載したいと思います。

「問題」って何だァ!(2)

(続き)

前回、JCDAの考え方として「2つの問題」をご紹介しました。
 イ)「エンジンの故障的問題」
 エンジンが故障した車は誰が運転しても動きません。従って、車(事柄)と運転者(人)は無関係で、問題は「事柄」単独で存在します。

 ロ)「自己概念が絡む問題」
 一方、就職活動が上手くいかないケースなどは就職(事柄)と応募者(人)が密接に絡む問題です。事柄と人が絡む問題のことをJCDAでは「自己概念が絡む問題」と呼んでいます。

 キャリア相談に来る相談者が抱える問題は、ほとんどがこの「自己概念が絡む問題」です。従って、キャリコンが事柄だけを単独で取り上げるようなアプローチをしてはいけないとされます。尚、この事柄だけを単独で取り上げるアプローチのことをJCDAでは「問題解決」と呼んでいます。

 やってはいけないことですが、ついついやってしまうのが「問題解決」的アプローチです。なぜかと言えば、2つの理由があるからと、JCDAの理事長が書いた『論文』には載っています。

1)相談者の話し方
 相談者は、自分自身の何がその経験を”問題”にしているのか、問題状況を形成している自分サイドの要素(考え方、過去の経験、価値観・・・)を自覚していません。

 その為、「その問題(事柄)が単独で存在しているかのような話し方」になるとされます。

つまり、相談者は、自分の人物特性(考え方、過去の経験、価値観・・・)が問題を作り出しているなんて思いもしないので、事柄に関する問題だけを話ことになると言っている訳ですね。

本当は自分の人物特性が絡んだ主観的な事実を話しているのに、あたかも客観的な事実のような話っぷりになる。これは、仕方ないことですね。こうした意味から、キャリコンが向き合う「自己概念が絡む」問題は、相談者には「見えない問題」であると例えることもできます。

それに対し、相談者が語り始める問題は、事柄に着目した問題ですし、相談者にとっては「見える問題」です。ですが、そのことが「真の問題」=「自己概念が絡む問題」と勘違いし、「問題解決」に走ってはいけませんよと言っているんですね。

では、どうしたら「真の相談者の問題」に迫ることが出来るかというと、背景や主訴(感情)、意味(考え・価値観)に関わっていくことになりますが、詳しくは『
テキスト』を参考にしてください。

また、どんな話っぷりでも受容・共感していくことがキャリコンには求められますので、このへんが最初の試練になるかもしれませんね。でも専門家になる道ですから、がんばってください。

2)キャリコンの思い込み
 もうひとつが「キャリコンの思い込み」です。キャリコン自身が、自分の経験や知識に照らして「その問題は○○(事柄中心)だ」と思い込んでしまうしまうことが挙げられます。

これはその通りですね。自分の経験や価値観で応答してはいけません。論述問題の出題を見ても明らかです。

以上ですが、相談者とは、問題状況に関して「事柄」面しか見えていないものだ、と考えてみると分かり易いかもしれません。それを、人の面、つまり人物特性と事柄を結び付けて、自己理解・自己探索の支援をしながら「本当の問題」(自己概念が絡む問題)を相談者と一緒になって明確にしていく。それがキャリコンの役割なんだと思うと、面談の進め方が見えてくるかもしれません。

いづれにしても、「主訴・問題の把握」はJCDA試験の根幹ですので、納得がいくまで整理しておいてください。「キャリコン実践研究会」でお申込実績がある方は、メールでのお問い合わせにも応じますので、かつて立石が発信したメールに返信する形でご連絡ください。


以上で「JCDAが言う『相談者の問題』」のご紹介は終了です。ですが、折角ですので、「キャリア・コンサルティング協議会が言う『相談者の問題』」も次回少し触れてみたいと思います。


斜体字の部分は私の解釈です。勘違い等ありましたらお許しください。
(ご参考)
Facebook『キャリコン実践研究会』、『実技試験対策テキスト

※ JCDAとキャリア・コンサルティング協議会。それぞれに特徴や良い点がありますので、キャリコン実践研究会では、受験先によって別々の指導を行っています。特に「論述試験対策」については、教材及び講座を分けています。

(続く)
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