面接試験

「要約」を活用してみよう

試験官の「始めてください」の言葉で面接試験がスタート。「こんにちは、よろしくお願いします。」との挨拶から、ご相談内容をお伺いしていきます。

心配した中断もなく、言いたいことは大体分かりました。共感も出来、状況を受容することもまあまあ出来ていると感じます。

さて、ここからどう展開するか、分岐点ですね。ここまでは順調に来たのに、間違った方向に持っていったら台無しです。

このような時、『要約』をしてみたらどうでしょうか。来談目的/相談者が相談したい問題、今置かれている状況、お気持ち、感情が明確に表現されているのであればしっかり反映します。

この時、相談者が使ったキーワードをそのまま引用するのが基本です。

自分の理解を示そうと「言い換え」るのはやめましょう。相談者に「あれ?ちょっと違うかも」と考えさせてしまったり、不信感を抱かせたりする危険があります。受験生レベルでは「言い換え」は不要!と割り切った方が安全かと思います。


さて、「要約」をしたら相談者を観察します。どんな反応をしてくれるか?

もし、訂正されたら・・・。ラッキー!!
「要約」せずにそのまま進めていたらアウトでしたね。「失礼しました。有難うございます。」と言って確認し、共有しましょう。必要であれば質問してもいいですね。新たな情報につながるかもしれません。

「要約」に同意されたら・・・。
ここまでは順調に来た証拠です。合格圏にいると自信を持ってください。ここから次のステージに展開することになります。(勿論、この時点でも確認出来ていないことがあったら質問OKです。)

ですが、ここで落とし穴が1つ。良かれと思ってキャリコンが考えた解決策に相談者を「誘導」してしまう危険性。解決策を見つけるのは相談者自身ですね。そのステップを奪ってしまうのは相談者を信じていないということになります。(つまり、「好意的関心」が希薄ということです。)

相談者の多くは「どうしたらいいか?」という悩みを抱えて来談します。自分に振りかかった状況に対して「動けない」。考えても考えても答が見つからない。

答が見つからない原因は、自己理解不足や仕事理解不足(≒協議会)、認識・認知の歪み/思い込み(≒JCDA)、そして情報不足やプラン、サポート不足なども考えられます。

そこで、動けない原因は○○だから△△しょうと一気に解決の方向に持っていこうとするのは短絡的で「誘導」と映ってしまう危険があります。

キャリコンがやるべきことは行動開始のヒントを示し最初の一歩を支援していくことですね。このあたりの方向性や言い回しはケースや受験機関によって変わってきますので、一度整理しておくことをお奨めします。(ご関心のある方は弊会のテキストやオンライン講座を参考にしてください。)

要約』は、「展開への移行」ツールとして有効です。また、面談にメリハリがつき、次の段階へ移行し易くなります。受験者にとっては落ち着いて一息入れることもできます。相談者(役)にとっても一息入れシナリオ通り進められているかの確認もできることでしょう。

信頼関係の構築、受容・共感から問題の把握、そして目標の提案・方策の実行へ、試験官に対して基本ステップを理解していることのアピールにも使える。『要約』はそんな強力な武器になるのではないかと思います。

(お知らせ)
キャリコン実践研究会では、第21回の試験に向けて「テキストの販売」と「オンラインRP対策講座」をご用意いたしております。

ご興味のある方は当会の<ホームページ>をご覧ください。試験まで正味1ケ月です。合格を目指してピッチを上げていきましょう。

技法「はげまし」

前回、論述試験問題中の「励まし」に関し、マイクロカウンセリングの「はげまし」についても少し触れましたので、技法としての「はげまし」をもう一度おさらいしておきます。

カウンセリングの神様ロジャーズが支援者側の態度について探求したのに対し、アイビイは支援者が用いる技法に着目しました。『マイクロカウンセリング』はその集大成です。

「はげまし」は「明確化」の下位概念として「いいかえ」と共に「最小限のはげまし」として紹介されています。(尚、「いいかえ」は一般的な”言い換え”とは異なり受験生の落とし穴になる危険性がありますので注意が必要です。)

「はげまし」は「かかわり行動」を土台にして成り立つ技法で、アイビイは非言語的なものと言語的なものに分けて説明しています。

非言語的なものについては、要するに”無表情になるな”と。言語的なものについてはいくつかの具体的な言葉を使って説明していますので、詳しく確認したい方は末尾の<引用資料>を参考にしてみてください。

当会のテキスト『面接試験のポイント整理』でも『マイクロカウンセリング』を取り上げ、実践力養成『個別ロープレ対策講座』でも活用しています。

実技試験のポイントは、適切に応答できるか!です。

”適切に”とは、相談者の意に反することなく受容、共感を示しながら、ということになるかと思いますが、では”示しながら”とは具体的にどうやるんですか?と受験生なら当然の疑問が湧いてきます。そこに答えてくれるのがマイクロカウンセリングです。

そして、マイクロカウンセリングを読み取り、当会で出した答が「伝え返し」です。無表情にならずに、応答として、「ええ」「はい」、「それで?」「それから?」、相談者が使った言葉の一言二言の繰り返し、などですが、これらを自然に使えるようになることが合格への第一歩だと我々は考えています。(『面接試験のポイント整理』参照)

文字だけ見ていると、簡単、出来る、と思いがちですが、実際にロープレをやってみるとなかなかタイミングがつかめず出てこなかったり、ぎこちなくなっていたり、お話の流れに沿っていなかったりしますが、そうした課題を見つけるためにもロープレ練習は欠かせません。

キャリアカウンセリングとカウンセリングは違うとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、『マイクロカウンセリング』は折衷主義と言ってジャンルや学派に拘らない普遍的なものを持っています。是非、基本的な技法のひとつとして再度確認されることをお奨めします。

<引用資料>
「マイクロカウンセリング」(アレン・E・アイビイ 川島書店)
「マイクロカウンセリング技法」(福原眞知子 風間書房)
「マイクロカウンセリングの理論と実践」(福原眞知子他 風間書房)

(お知らせ)
キャリコン実践研究会では、第21回の試験に向けて「テキストの販売」と「オンライン講座」をご用意いたしております。

ご興味のある方は当会の<ホームページ>をご覧ください。試験まで3ケ月足らずです。合格を目指して一緒に頑張りましょう。よろしくお願い致します。

ロープレのお悩み

資格取得のためには面接試験で合格点を取ることが大変重要になってきますが、多くの方が面接試験に不安をお持ちなのではないかと思います。

その原因はいくつかあって受験生によってそれぞれだと思われますが、その中のひとつに「展開力不足」というのがあるかと思います。つまり、ロープレをやっていても話が進んでいかない、どうしたら展開していくんだろう? 分からない! という悩みですね。

そこで原因と対策を考えてみますと、「それは、展開しようとするからで、展開しようとしなければ良い」ということになります。

失礼、これでは何が何だか分かりませんね。説明します。

二人の会話が展開していくには何が必要なのでしょう? まずは話し手と聴き手がいて、現状が把握され、共有されているか、つまり「現状把握」が土台になります。

そして、その土台がしっかりできて初めて「展開」が可能になるわけです。ですから、展開に悩む方については、まず「現状把握」がしっかりできているかどうかということを確認してみる必要があります。

現状把握は基本であるがゆえに意外と気づかないことが多いんですね。それだけに改めて「傾聴」の大切さを感じる次第です。

キャリコン側で相談者の現状把握がしっかり出来、相談者側でもキャリコンにしっかり自分の現状を把握してもらったと理解出来たら(これで信頼関係が構築できたとなります。)、主体的に相談に来た相談者は、自然にお話を進めていくはずです。

でも、もし、お話が進んでいかないとしたら・・・、自分が話したことについてキャリコンに理解してもらったと思えるところまでいっていない危険性があるということになります。

従って、こんな状況で、お話を”進めよう”、”引き出そう”としたら・・・、こころを開いて相談する気になれないということになるのではないかと思います。

尚、インテーク面談の最初の段階で「相談者を理解する」とは、こころの裏側まで詳しく解釈することではありません。お話された言葉を正確に受け止め、そして、受け止めたことを相談者に示すために「伝え返し」すればいいのです。

国家資格の実技試験では、この基本をしっかり身に付けるだけで充分合格レベルに達するはずです。展開に悩む方は、もう一度自分のロープレをチェックしてみてください。

第13回面接試験へ

論述試験が終わって、いよいよ面接試験ですね。ますます緊張の度合いが高まってくるのではないかと思います。

ここに至るまで、いろいろ試行錯誤されてきたことでしょう。だが、迷いはまだある。決して”分かった!”とは言えない。そんな方も大勢いらっしゃるのではないかと思います。

対策として浮かぶのは、いくつかのルール。感情を引き出して、家族や上司のことをきいて・・・

あぶない、あぶない!

これ、とっても危険です。

”何かやらなければ”と思った瞬間、相談者が視界から消えていきます。

唯一、やることと言えば、”聴く”ことです。聴くというのは、”お話”があって、そこから初めて、始まるものですね。ここが、とっても大切。特に、試験は面談の最初の15分という設定ですから、最初に、”聴く”という基本中の基本である「受け身の姿勢」が問われます。そうした姿勢を保てるかどうか、そこが合否の分かれ目になるかと思います。(受け身を軽視しないでくださいね。基本がしっかりしていないと真の受け身はできないものです。)

「では、感情を引き出してはいけないし、家族や上司の話もきいてはいけないんですね」と単純に考えないでくださいね。何かをする、しないは表と裏です。何かをしなければいけない/してはいけない、何かをすべき/絶対やってはいけないという先入観が問題だということです。

つまり、お話を聴き、感情面が出てきたら、反映する。上司やご家族がテーマになってきたら、上司や家族について触れたり、質問したりするということです。大事なのはこの順序ですね。お話を聴いてからの展開として、感情や家族、上司に触れるのはごく自然な流れです。

この自然な流れを作るためには、先入観を払拭し、頭の中を空っぽにして、相談者に向き合うという当たり前の対応がとても大事ということになります。


ここまで真剣に受験準備されてきた方であれば、間違いなくお話を聴く力はついているはずです。

迷いは、「~すべき」という妄想を基準にして考えるから生まれてくるのであって、結果として、上手くいかない、私はまだまだだ、落ちるかもしれない、ああどうしよう・・・となってしまう。緊張感にはこうした背景が潜んでいるんですね。

試験直前になったら睡眠をしっかり取り、自分を信じて相談者の前に座るだけです。「~しなければ」という悪魔のささやきが聞こえたら、妄想!と一蹴し、頭を空っぽにして臨んでください。そうすればご自身の身についた力が自然に発揮されるはずです。


前述の内容は、私の思い付きでは無く、いろいろなところで言われていることです。例えば、『インナー・ゲーム』。スポーツを通じて説くセルフコントロールは、面談の場面でも大変参考になります。

ご興味のある方は、下記ミニ講座にお越しください。毎回、いろいろなテーマを取り上げ、みんなで話し合う場を設けています。今回取り上げるのはこの「インナー・ゲーム」です。試験が終わった後ですので、お気軽にご参加下さい。

コミュニケーション・ミニ講座
日時:2019年11月20日(水)19:00~20:30
場所:三鷹産業プラザ3階「みたかふれあいサロン」
参加費:500円(お支払いは当日)
お申込:「ここをクリック

国家資格キャリアコンサルタント受験対策には『キャリコン実践研究会』のホームページをご覧下さい。

面談でガマンは必要か?

お悩みのひとつに、「どうしても説得したくなる」というのがあります。相談者の言っていることは分かるが、自分の経験から「そうではない、こしたらどうでしょう」と言いたくなるという訳です。だが、「それではいけない」とじっとガマン、しかしお話は平行線で行き詰まってしまう。

よく耳にするご相談です。特にお仕事を頑張ってこられた管理職経験者に多く、なかなか抜け出せなくてご苦労されているようです。

そこで、どうしたらいいか?ということになりますが、事例を挙げて考えてみましょう。

相談者1「今度異動になったが、どうも仕事に馴染めなくて、いっそのこと退社しようかと思っています。」

応答者A1「まだ異動したばかりだし、もう少し様子をみたらどうですか?」

相談者2「ん・・・、とにかくつまらないし、このままやっていても時間のムダだと思うんです。」

応答者A2「でも、異動はサラリーマンに付きものだし、長い目で見ればこの経験もきっと役立つはずなんですけどね。とにかく、もう少し続けてみませんか。」

いかがですか? 応答者Aの応答をどう思われますか?

これは、完全に上司としての視点ですね。キャリコン試験でこれをやったらほぼアウト!です。(つまり、お話を聴いていない。傾聴できていないということになります。)

では、キャリコンとしてはどのように応答すればいいのでしょう?

傾聴の基本はまず「受容」です。それも”無条件”で受け入れることです。無条件とは、条件、つまり自分の価値観≒評価的判断基準から離れて、ということです。

従って、キャリコンとしては
応答者B1「異動したけど、仕事に馴染めず、いっそのこと退社しようかと思っているんですね。」
と応答すべきですね。

その上で、どんな状況なのか、馴染めないとはどういうことか、どんな点がなど、ひとつひとつ解きほぐしてして問題点を明確にしていけばいい訳です。

単純なことですが、これが一般的対応(一般人や上司、同僚、知人等)とキャリコン的個別対応の違いです。(相談者は一般的応答に疲れてキャリコンの戸を叩きますので、同じ応答をしてしまっては相談者の期待に応えることはできません。)このようにキャリコン的視点に立てば、面談で無理にガマンする必要はなくなります。

しかし、言葉としては単純で理解もし易いのですが、実際の応答では非言語面も大変重要であり、練習と、可能であれば専門家によるオブザーブが必要になってくるかと思います。(受験を機会に本物の傾聴を身につけてください。きっと日常生活でも役立つことがたくさんあると思います。)


無料対策説明会も終わり、いよいよ第13回試験に向けて本格対策の時期になってきました。

キャリコン実践研究会では、半日で基礎から応用まで短時間で仕上げる「2種類の総合コースA・B」をご用意しました。1)基本的な考え方を学ぶ→2)ロープレにおける重要ポイントを繰り返し練習する→3)ロープレとしてやってみる、というステップを踏みながら、楽々合格を目指すハイブリッド講座です。

総合対策コースA
・実技試験攻略の為の基本の理解+応答における最重要ポイントの繰り返し練習+ロープレ練習のセットで、どんなケースにも対応できる土台を作ります。

・ロープレ、面接試験に迷いのある人、再受験の方にお奨めの講座です。

・開催日時:2019年10月12日(土) 12:00~16:10
 開催場所:東京都新宿区(詳細はお申込後にご連絡します)
 参加費用:20,000円(テキスト付)
 お申込は「こちら」から

総合対策コースB
・論述試験攻略の為の対策理解+口頭試問における最重要ポイントの練習+ロープレの練習・仕上げのセットで、論述対策、口頭試問対策を徹底し、ロープレの最終仕上げを行います。

・論述試験で40点以上を目指したい方、口頭試問が苦手な方、そして総合的に仕上げたい方にお奨めの講座です。

・開催日時:2019年10月20日(日) 12:00~16:10
 開催場所:東京都新宿区(詳細はお申込後にご連絡します)
 参加費用:20,000円(テキスト付)
 お申込は「こちら」から

総合対策コースはA、B個々にお申込が可能ですが、可能であればAとBを両方ご受講頂き万全を期して頂ければ受講効果もより高まると思います。また、遠隔地等で参加できない方にはテキストだけのご購入も可能ですので「ホームページ」をご確認下さい。

急がない!

例えば、試験や研修でロープレをやろうとすると、どうしても・・・得点しよう、結果を出そうとして気負ってしまうことがありますよね。その結果、(なぜか)失敗してしまう。

さて、国家資格キャリコン試験は合格基準が60点以上/100点。論述試験を含めた合格率は60~75%程度です。それに、面接は相手があるし答がひとつではありませんので、流動的と言うか落とし穴がいっぱいある試験といっても過言ではありません。

このように考えてくると、面接試験に臨むにあたって「得点を稼ぐ」というよりは「失点を防ぐ」という視点に立った方が良いのではないかと思います。

失点を招く最大の要因は「関係構築の失敗」です。その典型が「お気持ち」なり「問題」なりを何とか訊き出そうとする強引な展開にあります。

こうならないようにするには、一にも二にも「急がない」ことです。

お話を正確に伝え返し、ついていく。言語的追跡ですね。焦って訊き出そうとするのは禁物です。こんな時こそ「進まなければ、それでも良い!」とゆったり構えましょう。実際のところ、インテークであれば「現状把握ができれば十分」といえる面もあります。


では、試験直前の対策として。
伝え返し中心に話を進め、お話が一段落、沈黙となったら・・・

例えば、「少しお話を整理させていただいてもよろしいですか?」とそれまでのお話を「要約」してみましょう。

その結果、お話が続いたらまたフォローしていきます。それでもお話が止まったら・・・

「では、少し質問させていただいてもよろしいですか?」とイニシアチブを取らせていただくことをお断りした上で「質問」してみる。

この段階では、JCDAの場合、考え・価値観や経験に焦点を当てると有効です。(協議会の場合には、自己理解、仕事理解に関したことで、情報不足の方を中心に質問してみます。)


尚、この様なアプローチをしてもお話が続かない場合があります。(それは、非言語の面や受容・共感等面談にはいろいろな要素が絡んでくるからです。)

ですが、ムリに話を訊き出そうとするのではなく、相談者のペースに合わせようとするその姿勢こそが、キャリアコンサルタントに相応しい基本姿勢として評価されるのではないかと思います。

(ご参考)
キャリコン実践研究会ホームページ


まず、現状把握

国家資格キャリアコンサルタント面接試験。JCDAが自己への探索を中心にアプローチしていくのに対し、協議会は違ったアプローチを基本としているようです。

評価区分は、態度、展開、自己評価の3つ。

「態度」は易しく言えば、受容・共感できるか、自分主導ではなく相談者の自主性を尊重した傾聴姿勢ができるかですね。こうしたことを態度と呼んでいるんだと思います。(最初の3分間、まずは受容・共感に努めてください。)

「展開」は流れ、傾聴をベースにしてどう進めていくか。ここで基準となるのが「キャリア形成の6ステップ」です。その中でも「自己理解」と「仕事理解」。

自己理解は自分についてどんなことを語っているのか?仕事理解は同じく仕事についてどんなことを語っているか?がヒントになります。

注意して頂きたいのは、どうして? どうして?と質問し過ぎないこと(但し、仕事の内容が出てこなければ、どんなお仕事?と聴いてみましょう。)。

ここでは解決を考えるのではなく、あくまでも「現状把握」と考えてください。JCDAと違って協議会では課題を網羅的に抽出することに主眼を置きますので、ひとつのことを掘り下げようとすると話が進みません。

現状把握ができたら、要約をして目標を設定します。この時、目標は合意して頂けるようすぐ手の届くもので、それだったらやれそうだ!やってみよう!と思えることでなければいけません。そのためには「相談者が相談したい問題」に関連付けることがポイントです。

評価区分の最後は「自己評価」ですが、これはロジャーズの「自己一致」に近いものと考えてみてください。

自己一致とは、自分が実際どんなことをやって(行為)、その行為を正しく把握していて(認識)、そのことを分かり易く表現できる(説明)ということを意味しています。

つまり、口頭試問ですね。ですから、受容・共感出来ていないのに「お気持ちに寄り添えました」なんて言ったら・・・、ちょっと心配ですね。

こうしてみると、協議会で受験する人は「展開」の中の「現状把握」がカギになるのではないかと思います。繰り返しになりますが、問題を「探そう」としないこと。あくまでも、今、どうなっているか、の現状把握です。ここが分かれ道になるのではないかと思います。頑張ってください。


火のないところに

国家資格キャリアコンサルタント論述試験は、両機関とも従来の出題形式を踏襲しており、当会で論述対策を行った方にとっては解答しやすかったのではないかと思います。

さて、いよいよ面接試験ですね。

JCDAの評価区分3つの内のひとつ、「主訴・問題の把握」から面談対策について考えてみましょう。

「主訴」とは何か?

それは、文字通り、主な訴えということであり、一番訴えたいこと。こころの叫びのようなものと捉えてください。

「来談目的」が頭で考えたもので表層的なものだとすれば、「主訴」は内面的なもの、自分ではコントロールしにくい(従って、説明しにくい)「感情」と考えれば分かりやすいのではないかと思います。だから、受け止めて欲しい! それも無条件で。

では、「感情」はどこから生まれるのでしょう? ABC理論を待つまでもなく、それは考え、価値観、経験や信念に基づく「ものの見方」からですね。

「ものの見方」自体は個人特有のものですので良いも悪いもありません。ですが、ある状況に遭遇した時、ストレスを生み、自分を見失い、動けなくなってしまうほどのダメージを受け、こころの叫びとなって感情が発露しているとなったら・・・それは「極端なものの見方」つまり「思い込み」の仕業であり、それが「問題」ということになります。

よく、火のないところに煙は立たないと言われますが、「煙」が「主訴」で「火元」が「問題」と考えれば、両者の関係がよく見えてくると思います。


さて、面接への応用ですが、「感情」を掘り起こそうとしたり、分析しようとしてはいけません。

「感情」は「煙」であり、捕まえよう、明確にしようとしても手の中には殆ど残りません。インテーク面談の場合には「感情」は受け止めるだけ、反映するだけ、共感するだけでいいのです。

それよりもキャリコンとしてやることは「火元」を見つけることです。「火元」を見つける為には「煙」がサインになるという話で、「感情」を明確にすることが目的ではないことをしっかり認識してください。

「感情」を言葉で訊き出そうと質問に走っていませんか? 「感情」はそもそも言葉で理解するものではありません。感性、感受性で受け止めるものです。

そのためには、まず「煙」が立っている状況について語ってもらいましょう。どんな仕事(活動)をしているのか、どんな生活をしているのか、それをどんな表情で、どんな口調で、話してくれるのか。

これができれば「感情」を感じ取り「主訴」を見立てることが出来るはずです。そうすれば、その「主訴」はどこ(どんな「ものの見方」)からくるか、「火元」つまり「問題」に迫ることができると思います。

JCDA受験者はこうした点をしっかり整理しておいてください。

(ご参考)
キャリコン実践研究会
「テキストのお申込↓」
https://www.cconsupport.com/テキスト等/

「自然さ」が大事

年が明ければ、すぐに国家資格キャリアコンサルタント試験の合格発表。技能士2級の面接試験も始まります。

最近、多くの受講生と接していて、課題だなあと思うことは「自然さ」ですね。

素直にお話を聴いて、先入観や偏見、評価に捕われず、そのまま受け入れ、共感とともに、冷静に状況を見極め、半歩先を考える。

簡単に言ってしまえばこういうことで、考えてみれば普通の会話なのですが、これがなかなか出来ない。不思議というか、面談の難しさでもあります。

何が難しいのかと改めて考えてみると、こうなるはずだ、こういうはずだ、と仮説を立てるまではいいのですが、仮説でなく、それが前提となって話を進めてしまう、こういう点にあるのではないかと思います。

プロは、仮説(は仮説としてニュートラルなゾーン)に留まることができます。

では、どうして仮説前提の面談になってしまうのでしょう?

いろいろ考えてみるのですが、乱暴に言ってしまえば受験勉強のやり過ぎ?ではないかと思います。

試験だから、採点基準があって、〇〇しないとダメ、△△について質問しないと、あるいは、こうしてああして・・・、かくて面談は機械的となり、「自然さ」から遠く離れたものになってしまいます。(ん~)

2級試験の場合、前半でこの「自然さ」をベースにした傾聴が出来ないと、お話の本筋、つまり相談事を正確に把握することが出来ず、後半の「目標」設定が曖昧になってしまいます。目標設定が曖昧だと「方策」も相談者にとっては受け入れにくいものに・・・。

また、「目標」を先にいくつか用意していて、面談後半でそれを引用しようとする傾向も見られます。ネタをいくつか持っていないと不安ということかもしれませんが、ネタに”当てはめよう”という意図が強いと、機械的になってしまいます。

本来は、素直にお話を聴くことが出来、主訴を理解できたら、自然に「目標」は見えてくるので、面談はシンプルになってくるはずなんですがね。試験が迫ってくると不安が大きくなってくるので、ついつい武器をたくさん用意したくなるのでしょう。受験生心理としてはよく分かります。

ですが、年が明けたら、今までの準備、試験対策は忘れ、自然にお話を聴くことに重点を移してはどうでしょうか。

うるさくルールを主張する勉強会があったら避けましょう。自分を信じて、ご賛同いただける分だけ取り入れてください。(勿論、基礎・基本が出来てない方はその点の確認から始めてください)

画一化された機械的な面談ほど評価を落とす面談はありません。プロとしての試験官の眼はこうしたことを見逃さないでしょう。

試験官に評価していただける面談は、血の通った、温かい、相談者の立場に立った面談です。それは、決して難しいものではなく、普段通り誠意を持って人に接しているご自身のコミュニケーションスタイル=「自然な」会話だと思います。

「自然な」会話が出来たとき、初めて主訴が分かり、問題や目標・方策が見えてきます。この基礎、基本をしっかり押さえてください。


2級試験の事前配布される「ロールプレイケース内容」の使い方は、慎重にした方がいいですね。

まるで、先入観製造装置と思えるくらい魅力ある情報が載っています。読み込み過ぎは禁物。ストーリーに溺れないようにしてください。
まさに、仮説に留まれるかが試されるような気がします。

(ご参考)
キャリコン実践研究会ホームページ
理論講座のお申込」:2月3日 (日)12:30~14:00
テキスト・サブテキストのお申込
*『テキスト』(理論講座で使用)はキャリアコンサルタント試験(JCDA、CC協議会)向ですが、技能士2級試験の基礎・基本学習用としても有効です。

邪魔をしない?

資格取得を離れて、個人的に「ミニ講座」を開催していますが、その中でもワークを行うことがあります。

私自身も受講生と一緒になってワークに入りますが、先日、対話をやっていて、改めて傾聴の力を感じることができました。

まさに、「安心できる場」があるならば、ひとは第三者の力を借りて、「自己理解・自己成長」が進む、という実感です。

詳しい説明は省きますが、端的に言えば、「いかにお話の邪魔をしないか」が傾聴の基本になるかと思います。

ですが、資格取得、試験合格となると、「何かをしなければいけない」と考えてしまいます。そして、何をしたらいいのかを一生懸命勉強し、試すことになります。

冷静に考えると、「邪魔をしないでとにかく話を聴いてほしい、その上で相談に乗ってほしい」相談者と、「何かをしたい」キャリコンでは、求めるものが違いますので、当然のことながら上手くいかない危険性があります。

では、「邪魔をしない」とはどういうことなのか。また、これに近い言葉で「何もしなくていい」とはどういうことなのかを考えてみたいと思います。


一時期、自己啓発セミナーというのがブームになりました(今でもあるのかもしれませんが・・・)。ある状況に追い込み、行動を迫ることによって成果を得ようとします。

勿論、そのことが切っ掛けになって良い結果を生んだ方も居たかと思いますが、多くはブームで終わってしまったようです。

その原因は、ある条件を与えて、仕向けた ことにあったのではないかと思います。こうしたことを考えると、現状から隔離して、つまり条件付けして、出てきた行動は、条件が外れたら行動が途絶えてしまうという点に着目する必要がありそうですね。

従って、行動を起こし、継続的な成長を志向するキャリアコンサルティングにおいては、まず現状を「受け入れる」ことから始めなければいけないという基本に帰着します。

相談者にとって、苦しんでいるのは「現状」ですから、現状から目を離しては成長につながりませんね。「現状」を良く聴き、「悩むのも無理はありませんね」「苦しむことは恥ずかしいことではありませんよ」と受け入れる、「OK」を出してあげることが大事です。

ここで、支援者(=キャリコン)から「OK」を出してもらい、自分でもそのように思えて初めて、次の一歩を自ら踏み出せると思うのですが、いかがでしょうか。


この様に見て来ると、面談で大切なのはまず「受容すること」。これは信頼関係構築の第一ステップです。「受容」というと「スゴイですね」「リッパですね」とやってしまうことがありますが、これは「受容」ではありません。「評価」です。「評価」は相談者の心情との乖離を生む危険性がありますので、インテークでは特に注意が必要です。

この「真の受容」「評価しない態度」こそが「邪魔をしない」ポイントではないかと思います。また、受け入れるだけで、質問等で仕向けることをしない状況は、あたかも「何もしない」ように見えるのかもしれません。(この様に大事なことはとてもシンプルです。)


勉強が進んでくると、キャリコン自身の自己効力感から何かをしたくなることは分かりますが、それが逆効果になっていることが多くの受講生を見てきて感じることです。

勉強が進んだ方こそ、一歩引いて「受容」を実践してみてください。真のプロのカウンセリングを見ていると目立たない。これこそ相談者中心の姿勢ではないかと思います。

(ご参考)
キャリコン実践研究会』ホームページ
まずは、当会の『テキスト』をお手にとってください。

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