3回にわたって、JCDAとキャリア・コンサルティング協議会の考え方から「問題とは何か」を見てきました。

そこで明らかになったのは両者の視点の違いです。簡単に言えば、それは設定された事例の違いと言えるかもしれません。

例えば、JCDAは、こころの中の「わだかまり」がテーマになっているような気がします。そのわだかまりが、現状認識を曇らせ、どうしたらいいかといった迷路に入り込んでしまっている。

相談者自身は、仕事が忙しくなった、自分だけが被害者だ、上司は分かってくれない、そんなことが「問題」だと思っている。しかし、お話を丁寧に聴いていくと、こころのわだかまりがどうやら原因だと分かってくる。だが、それだけでは相談者自身の気づきや自主行動につながらない。そこで、過去の経験などを再現してもらい、「わだかまり」の意味に気づいてもらう、といったアプローチをとることになります。

一方、協議会の方は、何らかの「転機」がテーマになっている感じです。転機を迎えて新しいことにチャレンジしなければならなくなった、でもどうしたいいか分からないといったケースですね。

「転機」というと「転機の乗り越え方」の「リソースを点検する」=「4S」を思い出しますが、そこにはあらゆる方向から活用できる資源を探すという視点を見つけることができます。この中には自己があり、状況(環境や仕事)があり、支援(サポート)、戦略があるということですから、自己理解、仕事理解から目標、方策へ(戦略)という展開が重要になってきます。従って、足りない部分があるとすれば、それが「問題」というのは納得がいきますね。

このように考えて来ると、「問題のとらえ方」としてどっちが正しいんだァ!と言っても始まらないことがお分かりいただけるかと思います。つまり、JCDAも協議会も「自分の問題のとらえ方」に相応しい事例を設定している訳ですから。

試験である以上、仕方がありませんね。受講生の方々には常々言っていることですが、こうしたことからも自分の考えだけで「問題」を判断するのではなく、JCDA、協議会の考え方をしっかり理解しておく必要があると思います。


実際の面談では、ケースは様々ですし、こころのわだかまりや転機が混在していることも多々あります。従って、ケースによっては別のアプローチをとったり、折衷したアプローチをとることもあります。

こうした観点から考えてみますと、私個人としてはJCDAと協議会があって良かったんじゃないかなと最近思っています。

できれば、もう一つくらいあってもいいかな。3つの試験機関で3つのアプローチが出てくる位だと更に質も上がってくるのではないかと思います。

実際、カウンセリングにおいては、確か400位の理論があるそうですが、一般的には、精神分析派、来談者中心療法派、認知行動療法派が主流となっているようです。ですが、現場の臨床家はケースに応じて折衷的なアプローチ(折衷派)を行っています。

まだまだ課題が多いキャリアコンサルティングですから、キャリコン試験にチャレンジする皆様の登場にこころから期待するする次第です。どうか志を高く持って、ご自身の闘いに全力投球してください。