(続き)

前回、JCDAの考え方として「2つの問題」をご紹介しました。
 イ)「エンジンの故障的問題」
 エンジンが故障した車は誰が運転しても動きません。従って、車(事柄)と運転者(人)は無関係で、問題は「事柄」単独で存在します。

 ロ)「自己概念が絡む問題」
 一方、就職活動が上手くいかないケースなどは就職(事柄)と応募者(人)が密接に絡む問題です。事柄と人が絡む問題のことをJCDAでは「自己概念が絡む問題」と呼んでいます。

 キャリア相談に来る相談者が抱える問題は、ほとんどがこの「自己概念が絡む問題」です。従って、キャリコンが事柄だけを単独で取り上げるようなアプローチをしてはいけないとされます。尚、この事柄だけを単独で取り上げるアプローチのことをJCDAでは「問題解決」と呼んでいます。

 やってはいけないことですが、ついついやってしまうのが「問題解決」的アプローチです。なぜかと言えば、2つの理由があるからと、JCDAの理事長が書いた『論文』には載っています。

1)相談者の話し方
 相談者は、自分自身の何がその経験を”問題”にしているのか、問題状況を形成している自分サイドの要素(考え方、過去の経験、価値観・・・)を自覚していません。

 その為、「その問題(事柄)が単独で存在しているかのような話し方」になるとされます。

つまり、相談者は、自分の人物特性(考え方、過去の経験、価値観・・・)が問題を作り出しているなんて思いもしないので、事柄に関する問題だけを話ことになると言っている訳ですね。

本当は自分の人物特性が絡んだ主観的な事実を話しているのに、あたかも客観的な事実のような話っぷりになる。これは、仕方ないことですね。こうした意味から、キャリコンが向き合う「自己概念が絡む」問題は、相談者には「見えない問題」であると例えることもできます。

それに対し、相談者が語り始める問題は、事柄に着目した問題ですし、相談者にとっては「見える問題」です。ですが、そのことが「真の問題」=「自己概念が絡む問題」と勘違いし、「問題解決」に走ってはいけませんよと言っているんですね。

では、どうしたら「真の相談者の問題」に迫ることが出来るかというと、背景や主訴(感情)、意味(考え・価値観)に関わっていくことになりますが、詳しくは『
テキスト』を参考にしてください。

また、どんな話っぷりでも受容・共感していくことがキャリコンには求められますので、このへんが最初の試練になるかもしれませんね。でも専門家になる道ですから、がんばってください。

2)キャリコンの思い込み
 もうひとつが「キャリコンの思い込み」です。キャリコン自身が、自分の経験や知識に照らして「その問題は○○(事柄中心)だ」と思い込んでしまうしまうことが挙げられます。

これはその通りですね。自分の経験や価値観で応答してはいけません。論述問題の出題を見ても明らかです。

以上ですが、相談者とは、問題状況に関して「事柄」面しか見えていないものだ、と考えてみると分かり易いかもしれません。それを、人の面、つまり人物特性と事柄を結び付けて、自己理解・自己探索の支援をしながら「本当の問題」(自己概念が絡む問題)を相談者と一緒になって明確にしていく。それがキャリコンの役割なんだと思うと、面談の進め方が見えてくるかもしれません。

いづれにしても、「主訴・問題の把握」はJCDA試験の根幹ですので、納得がいくまで整理しておいてください。「キャリコン実践研究会」でお申込実績がある方は、メールでのお問い合わせにも応じますので、かつて立石が発信したメールに返信する形でご連絡ください。


以上で「JCDAが言う『相談者の問題』」のご紹介は終了です。ですが、折角ですので、「キャリア・コンサルティング協議会が言う『相談者の問題』」も次回少し触れてみたいと思います。


斜体字の部分は私の解釈です。勘違い等ありましたらお許しください。
(ご参考)
Facebook『キャリコン実践研究会』、『実技試験対策テキスト

※ JCDAとキャリア・コンサルティング協議会。それぞれに特徴や良い点がありますので、キャリコン実践研究会では、受験先によって別々の指導を行っています。特に「論述試験対策」については、教材及び講座を分けています。

(続く)