論述試験、変わりましたね。特に協議会は、あたかも全面改定の様相です。

このため、受験生からは戸惑いの声がたくさん寄せられました。でも、こうした予想外の出来事は日常に溢れていますので、如何に早く冷静になり、日頃積み上げた実力を答案用紙に反映させるかの勝負だったような気がします。

では、第2回から第14回まで同じ形式だったのに、なぜ今回は変わったのでしょうか? 私なりに考えてみました。

試験主催者側の危惧は「最近、試験対策が普及しているせいか、みんな同じ答え方をする。論述にしても面談にしても画一的過ぎて、果たして本当に学びになっているのだろうか?」ということのようです。

こうした観点から第15回の協議会の論述問題を見てみると、1は相談ごとの全体を把握する設問。

2では「お気持ち」を質問した意図を問われています。日頃、「気持ちを訊かなければと受からない」とだけ念じてきた方には答えにくかったかもしれませんね。「気持ちを聴く」には流れとタイミング、そして意図が必要なんですね。JCDAでは感情や意味という視点からこれらをある程度説明していますが、協議会対策として盲点だったような気がします。なんとなく基本が大事!というメッセージが聞こえてきますね。

一応、口頭試問でも同様の質問が来るかもしれませんので、相談者に質問した場合の意図を答えられるようにしておいた方がいいかもしれません。

次に3、相談者の問題を答えさせる設問ですが、従来は解答欄が4行、今回は問題が2行と根拠が3行です。

問題と根拠が分かれたということは、あれもこれもと問題をいくつも答えるやり方から、「中心となる問題をしっかり捉え、その根拠を明確にする」ということに重点が移ったのではないかと思われます。

最後に4、従来の「働きかけ」から設問3を土台にした支援の「方針」を答えさせる出題。つまり、支援プランといったところでしょうか。

このように見てくると、1.相談したいこと → 2.質問の意図 → 3.問題と根拠 → 具体的な支援方針・プランという流れが見えてきます。これは、まさにキャリアコンサルティングの基本ですね。

であれば、2.の質問の意図は? 自ずと見えてきますね。つまり、相談者の問題やその根拠を見つけるためのヒント探す、といったことになるのではないかと思います。


さて、JCDAの論述試験についての変化は、4「相談者の語りを通じて相談者像を想像し、~その理由も含めて」という条件が付いたことですね。

相談者像とは性格や思考の特徴などですが、それらはその人の語りを通じて現れるという考え方、なんだかナラティブ・アプローチの匂いがしていますね。いずれにしてもお話をよく聴く!ということが出発点になります。


最後に、第15回の論述試験を総じて考えてみると、協議会では「気持ちをきく意図」、JCDAでは「相談者像(人物像)」など、「ひとに焦点」が当たっていてズバリ基本を重視しているなという感じです。そうした意味で、協議会とJCDAは共に歩み寄ってきているような気もします。

そもそも両者は、同じ試験をやってますよ、というスタンスのようですから今回のような傾向が見られても不思議はないですね。

試験に王道無し、本当の実力をつけるステージが始まったのかもしれません。

私ももう少し分析し、第16回用の論述版テキスト「論述試験のポイント整理」の改訂に取り掛かりたいと思います。