2017年04月

不合格ポイント(1)

過去のCDA試験で、「不合格者に見られる傾向」として7項目が設定されていたことがあります。不合格になってから頂く資料ですので、私も納得がいくまで考えてみました。

内容は一見平易なもので、JCDA、キャリア・コンサルティング協議会双方のキャリアコンサルタント試験、特に面接試験に十分当てはまるものだと思います。そこで、何回かに分けてご紹介します。

1)先入観で話を進めてしまう
 最初に渡される簡単な相談者情報と、1つ2つの質問によって、CCが勝手にイメージを作り上げてしまい、それ以降のイメージや先入観に沿って話を進めてしまう、という傾向です。

CCも人間ですから、どうしても主観的なイメージを作ったり、先入観を抱いたりしてしまいます。従って、思っている以上に深刻です。

どうしてかと言うと、「先入観で進めないようにしよう」と思ってもなかなか対策にならないからです。気づかなかった、気づいた時にはもう遅かった、ということが多いんですね。

十分に対策するためには、どうして先入観を抱いてはいけないのか、先入観を抱いた結果どんなことが起きるのか、あるいは人間性、こころの動きなど、基礎的・基本的な面から分析し、納得がいくようにしておく必要があります。

キャリコン実践研究会では、「テキスト」(理論講座で使用)全編にわたってこの点を意識し、納得がいく見解にたどり着けるように努めています。

2)思いつくまま、脈絡なく質問をする
 質問に一定の意図が感じられず、手当たり次第に質問を繰り返している。どういう意図で質問されているのか相談者に伝わらない為、支援関係・信頼関係が構築されず、逆に相談者の気持ちが離れていく。また、面談の殆どの時間がCCの質問で占められている、といった傾向です。

手当たり次第に質問し、信頼関係が築けない。殆どCCが話しているという面談ですね。初心者に多く、質問することがキャリアコンサルティングだと思われていることに原因があるようです。

何のために質問するのか、何を質問するのか、質問する前に何をし、答えが返ってきた後には何をするのか、その点をしっかり押さえておく必要があります。(ご参照:「テキスト」)

ポイントは、意図を持って(意図性)ということになりそうですが、この意図性と先入観との関係を整理しておく必要があるかと思います。

先入観を持ってはいけないので⇒いろいろ質問する
いろいろ質問を重ねてはいけないので、⇒先入観を持ってしまう
先入観を持ってはいけないが、意図性は必要

どうしたらいいのでしょう? セミナーでも教えてくれないし、本にも載っていない。一番訊きたいところですね。

簡単に言うと、答えは「傾聴」と「応答」です。ですが、この言葉もそれ自体分かりにくい言葉ですね。そこで、キャリコン実践研究会では、「傾聴」をロジャーズの「3つの態度条件」を使って、「応答」をアイビイのマイクロカウンセリングを使って、分かり易く説明しています。(ご参照「テキスト」)


上記1)2)は多くの方がお分かりいただいていることだと思います。ですが、ちゃんと理解し実際に適切な応答が出来る方は本当に少ないのではないかと思います。

誤った理解を元に自己流で準備を進めてしまうと迷路に入り込んでしまう危険性があります。癖が付く前に、専門的な指導をお受け頂いた方がよろしいかと思います。


(ご参考)
JCDA「CDA資格認定2次試験不合格者に見られる傾向」

(続く)

第4回向「理論講座」を終えて

日曜日に理論講座を開催しました。最近は、会場やスケジュールの関係から、全体的に日程の確保が厳しく、理論、傾聴、論述、口頭試問等の講座は1回限りの開催です。今後もこんなペースになってしまうのかもしれません。

 ※ しかしながら、極力日程等を調整し、逐次お席の拡大に努めていますので、頻繁に「ホームページ」をご確認頂ければと思います。

 ※ 理論講座は終わりましたが、講座内容は『テキスト』(A4/87頁)でご確認頂けます。よろしければお手にとって下さい。

講座ではテキスト、サブテキストを使って説明をしていきますが、詳しくやろうとすると、90分では説明しきれません。

ですが、そこを何とか、時間内に、分かり易く、ご説明するようにします。限られた時間だからこそ、大事なところが際立ってくるはずですから。

考えてみたら、試験は15分の中で如何に良いパフォーマンスを示すかということですね。「制約」にこそ意味があると思えてきます。


時々、ロープレ練習をやっていて、複数のオブザーバーからいろいろなことを言われて混乱することがありますね。でも、そうしたご指摘を全部やるなんて出来ませんよ~。大事なことは、見立てに沿って必要なことだけをやることだと思います。

余計なことはやらない。そもそも、何かをやろうとすること自体が何かを犠牲にしていることになりますから、本筋は何か?ということをきちんと捉えていないと、練習すればするほど迷いは深まってしまいます。

そこで、基礎、基本の重要性を改めて感じ、テキストにまとめ、理論講座でお話するのですが、スタートは「受容」にあるのではないかと思います。そう、無条件の肯定的配慮ですね。

ですが、「受容」だけではなかなか真に意味するところまでたどり着けない。真の意味を捉える事が出来ないまま、「受容」は理解したと思いこんでしまう・・・。

是非、受験される方は、今、この時期に、「受容とは?」を考えてみてください。そこから、背骨をしっかり意識することができ、進むべき道のセンターラインが見えてくるのではないかと思います。


第4回キャリコン試験に向けて

第3回の試験結果が発表となって、受講生の方からもいろいろとご連絡いただくようになりました。

まず、合格率や平均点等を見ますと、3回目となり、やっと落ち着いてきたかなという印象です。

かつて、70%を超えた異常なる合格率は影を潜め、60%台という妥当なレベルになってきました。また、2つの試験実施機関で20%もあった合格率の差も、ここに来て3~4%に縮まっています。

過去問の分析は受験生にとって必須事項ですから、キャリコン実践研究会でも「論述基礎講座」や「サブテキスト」あるいは「過去問分析資料」に反映していますが、それぞれの実施機関の特徴も見えてきたような気がします。

また、それは面接試験へのガイドラインとなっているようですから、過去問分析から始めてしっかり論述対策をやるのは、面接試験対策にもなるということですね。ですから、論述試験と面接試験は表裏一体となっていて「実技試験」と言われる所以だと思います。

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どちらで受験するか、という点も受験生としては大きな課題ですね。

JCDAはカウンセリング面に強く、心情や現状のみならず、背景や内面まで対象を広げ、こころや認知といった心理面から真の問題に向き合っていくアプローチをとります。

実際、クライエントと個室でお話していくと、こころの持ち様が問題となってくることもありますので、そうした背景を捉えた心情面の理解が不可欠となります。

一方のキャリア・コンサルティング協議会の方は、JCDAに比べると、ガイダンスやコンサルティング的な色彩が濃く、個室での面談というよりは窓口での対応力を重視しているようです。

つまり、仕事に就きたい、転職したいというクライエントに対し、自己理解、仕事理解の両面から適職に導いていく、情報提供していくというアプローチです。

そこで、どちらで受験するか、ということですが、まず第一に、どちらで学んだか、ということですね。2カ月先の受験を考えた場合、「乗換」は危険です。

もし、これから数回先の受験を目指して新たに勉強を始めたいという方であれば、上記特徴を参考にしてください。

それで、上記特徴を考えた場合、窓口経験(公共機関、大学、企業等)があり、労働市場(求人・求職)の情報に詳しい人は協議会が有利だと思います。(協議会で受験される方はこの点の情報収集を日頃からやっておいてください。)

一方で、窓口経験が少ない方は、基本から学ぶという意味でJCDAから入っていく、受験する、資格を取る、実践力を磨くというご自身のキャリアパスを考えてみるといいかと思います。

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 『受験対策テキスト
 A4 80数頁で作成しています。
 JCDA、協議会両用で、
 共通対策、各個別対策を
 まとめています。






但し、受験機関を選ぶのに、公式はないと思います。

それこそ、自己理解と対象理解(試験、仕事、環境等)の両輪が必要です。また、両試験機関に共通した基礎・基本がありますので、その点の理解と習得は不可欠です。

頂いたお便りを拝見していると、それぞれのご事情を抱えながら、それぞれがんばって来られたんだなという想いを新たにします。

しかし、結果は右にも左にも出る。中には1点で!、と言う方もいらっしゃいます。

ん~、1点! キャリアコンサルティングに長年かかわってきますと、ついつい「意味」を考えてしまいますね。職業病でしょうか。その方にとっての合格の意味、不合格の意味。今、ここでの意味。長い人生の中での意味・・・。

答は出ませんが、考え続けることに、この試験に向き合っている「意味」があるような気がします。
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