2016年10月

質問しちゃいけない?

「質問しちゃいけないんですか?」
「そんなことはありません。」

よく、こんなやり取りがあります。
ですが、「質問しないでやってみましょう。」と言うことはあります。


紛らわしいでしょう。ですが、「質問しないで」ということは時々あるんですよ。それは、その方の質問が傾聴の障害になっているように感じられる場合です。

まだ本格的に面談手法を学ばれていない方に多いようですが、話を進める為に質問する。質問したのにその答が返ってきてもそれを聴かないで次の質問を考えている。相談者が答え終わってもその返答には触れず、次の質問をする。

相談者は何のために答えているのか分からなくなってくる、何のために相談しに来たのかと疑問に思えてくる。だんだん嫌になってくる。相談者の顔がこわばり、返答が短くなってくる。

焦る、そして益々質問を考える時間が長くなる。かくて、面談は終わり、後日、不合格通知が来る。

眼に見えています。ですが、あなたの質問はダメですよ、こういう質問をしてくださいという訳にはいかない。画一的にフレーズだけを覚えても、きっと次のフレーズを思い出す努力をするだけで終わってしまいそうです。

問題はお話を聴くことが出来ていない、つまり傾聴が出来ていないという基本にあります。

基本が分かっていないから不安になる。だからお話だけを続けさせることが目的となる。内側にあるのは「恐怖」かもしれません。沈黙に対する「不安」であり、沈黙されることによって自分自身の存在が否定されるという「恐怖」。

  この「不安」や「恐怖」は防衛本能を呼び覚まし、「私は仕事でいろいろ
  質問してきたので」といったお話につながります。「質問することが仕事
  だった職業人」という自己概念ですね。

ですが、こういったことは私にもありますし、誰にでも少なからずあることです。それが人間です。ですから、そのこと自体を問題にするのではなく、傾聴が出来ていないという点に焦点を当てなければいけません。

もうお分かりかと思いますが、
「質問」自体が悪いのではなく、お話を聴かずに「質問を”考える”」ことが問題なんですね。

CIMG7213冷静に考えてみると、話が途切れ、自分が何も出来なくなるのが怖い訳ですから、その恐怖を取り除くことを考えれば良い訳です。

つまり、質問の代わりになるものが見つかれば良いことになります。

そこで、「相談者の話」を「正確に伝え返してみましょう。」と提案します。その他は何もしなくていいから、相談者が使った言葉を正確に返してみてください。それだけで結構ですと。

そうすると、質問を考えるストレスから解放されますので、だんだんお話が聴けるようになってきます。言葉を正確に返さなければいけませんので、お話に集中できる。集中できればお話のストーリーが見えて来ます。返す言葉に非言語も乗ってくるなど好循環が生まれてきます。

こうしてやっとスタートラインに立つことができ、ここから本格的に面談手法を身につけていくことになります。ですから、最低でも4回のロープレを拝見させて頂きたいと皆様には申し上げています。

以上、われわれのご支援の一例ですが、なかなか的確な質問をするのは難しいものですね。


質問はとても重要な手法です。的確な質問が出来れば中級者だと言ってもいいでしょう。それだけに、何の基礎もできていない初心者が質問を乱発すると、とても危険です。まずは、基本の「傾聴」を理解し、伝え返しを習得し、面談の構造が見えてきたところで、質問を活用する位の余裕がほしいところです。

相談者のお話を集中して聴くことができれば、「質問は”浮かんで”きます。決して、”考え出す”ものではありません。」このへんが中級たる所以ですので、しっかり基礎を大事にしてください。

質問は、相談者が話されたテーマについて行うことが基本であり、それが「言語的追跡」です。ですから、お話を聴かないと質問が浮かばないのは当たり前ですね。どうかこの順序をしっかり押さえておいてください。

(ホームページ)
キャリコン実践研究会

やっぱり「傾聴」ですね。

やっぱり、「傾聴が大事」というお話を少し。

「傾聴」は大事ですね。キャリアコンサルタントを目指す方であれば誰しもそう思いますよね。

ところが、評価を受けてみると「傾聴が出来ていない」と言われる。自分では「出来ている」と思っていても、「出来ていない」と言われる。

一体、「傾聴」って何なんでしょうね。???

きっと、「イメージした傾聴」と「真の傾聴」は違うんでしょうね。通学コースに行っても、「ハイ、これが傾聴です。」ってなかなか納得がいく説明は得られなかったようような気がします。

ん~、ちょっと違いますかね。「傾聴とは」という説明はあるけど、どうやったらいいかの具体的な説明が無い、と言った方がいいのかもしれません。

だから、自分なりの”やり方”で、自分は傾聴が出来ていると判断してしまう。そして、「どうしたらいいかが分からない」ということに気づけない。結果として、何度も過ちを繰り返してしまい、挙句の果てに受験を諦めてしまうことだってある。

「支援の基本スタンス」は「傾聴」です。ですから、論述試験でも面接試験でも「傾聴できているか」は大きな評価基準になっています。これは、キャリア・コンサルティング協議会でも、技能士検定でも同じです。

第1回の試験は「方策」寄りになるのではとも思いましたが、実際には「傾聴重視」の試験に変わりはありませんでした。

IMG_0612それにしても・・・、傾聴、傾聴と言うけれど、一体何を聴けばいいんでしょうね???

最初の課題は「傾聴」でした。

そこで、無条件の肯定的配慮や共感的理解、マイクロカウンセリングなどを徹底的に分析してみました。

細かく分解してみると、やっと見えて来たものがあります。そこをどう伝えるか、受験生のご支援を体験しながら、われわれなりにノウハウとして積み上げてきました。

そこで改めて思うのは、「『傾聴』を身に付けるには理論的理解と訓練が必要だ」ということです。

例えば、傾聴とは人に寄り添ってお話を聴くことだと言ったとしても、「人に寄り添うやり方」がその人なりの考えに基づいたやり方であったらほとんど通用しません。それだったら国家資格なんて意味がありませんし、そういった相談好きな方はたくさんいらっしゃいます。

国家資格キャリアコンサルタントはプロです。世界で認められたキャリア理論やカウンセリング理論をしっかり身に付けた専門家でなければいけません。その一環としての「傾聴」が求められています。

こうしたことから、しっかりした理論を背景にした「真の傾聴」を是非、身につけて頂きたいと思います。そして、それが目指すキャリコンへの道だと思います。

 ※「理論」というのは、普通思いつかないことで大切なことに気づいたから
   ”理論”になったんですね。言い方を変えれば、普段やらないことでもあ
   るので、理論として周知した。ここに学ぶ意味があります。勿論、理論
   はいくつも有りますし、最近は折衷主義と言っていくつかの理論を併行
   活用するのが主流です。

われわれがはじめてロープレを拝見し、「良く出来ています。」と言える方はほとんど居ません。それは、ご本人が悪いのではなく、理論に基づいた正しい「傾聴」を教えてもらえなかった、その機会が無かった、学んでこなかったということだと思います。

われわれの理解もまだ途上で、学ぶ点は尽きません。ですが、一緒に学ぶという観点からキャリコン試験合格を目指した支援は出来ると思っています。

また、「真の傾聴」を身に付けることによって、面談が見違えるようになります。

折角、プランをお持ちになってキャリコンにチャレンジしたいと意思決定されたのですから、素質十分です。訓練次第で必ず合格にたどり着けると思います。

キャリアコンサルティングの基礎・基本は「傾聴」にありますので、なかなか進歩が感じられないと思うならば、「傾聴」に立ち戻ってみてください。そして、「真の傾聴」を学び直してください。きっと光が見えてくると思います。


キャリコン実践研究会」では、「傾聴」の重要性を再認識し、『傾聴基礎講座』を復活させました。講座では、緊張対策や面接試験で重要な面談の入り方、具体的な伝え返しなども取り上げます。

残った日程は「11月6日(土)12:05~13:35」となり、お席も少なくなってきましたが、ご都合のよろしい方は是非ご受講ください。尚、ご受講には「テキスト」(PDF86頁)のお申込が必要になりますが、傾聴の理論面をカバーする上で必須事項満載ですので、両輪と考えていただければ幸いです。

論述試験対策について

国家資格キャリアコンサルタント試験が今年始まり、第一回が終わりました。

CDA試験を目指して来られた方、あるいは国家資格キャリコン試験が初受験となった方には、論述試験ってどんな試験なんだろう、どうしたらいいんだろうと、きっとご不安だったと思います。

そして、ふたを開けてみたら、大方の予測が狂って、基礎や基本が問われる内容でした。

JCDAで見てみると、論述試験の平均点(50点満点)は34.2で68.4%。面接試験の54.3%を上回っています。この傾向は、キャリア・コンサルタント協議会でも見られました。

このことからすると、面接試験より論述試験の方が点数が取り易い。そして、特筆すべきは、JCDAにおける集計数字では、論述試験で面接試験の不足分を補っているということです。

実際、お話をお伺いした合格者の中には、面接試験は不合格点だったけど、論述試験の点が高かったので、合計点で合格できたという方が結構いらっしゃいました。

こうなってくると、論述試験が有って良かった、ということになります。

従って、論述試験は得点源、取れるだけ取っておこうと考えるのが受験生の必勝法ということになります。ですが、一方で、その逆のパターンもある筈ですから、油断すると大変なことになります。

そこで、本気になって”論述試験対策”を考えてみました。

IMG_0765まず、考えなければいけないのが、学科試験との違いです。

学科試験は、キャリアコンサルティング全般の知識を問うもの、論述試験は、実務としての広義の手法(スキル)についての考え方や姿勢を問うものと考えられます。

面接試験は、流動的なものです。相談者(役)が居て、事例が設定されていて、応答・展開が生まれ、試験官二人が評価する。それぞれの頭の中は見えませんので、下された評価に戸惑うこともあったのではないかと思います。

こうした流動的な要素をカバーするのが口頭試問ですが、対象が今行われた”面接”に限定されますので、果たして他の事例ではどうなのかと言う点が不明です。論述試験はこうした点を補うものと考えれば理解し易いですね。

『テキスト』には、技能向上の3本柱として「理論」「手法」「自己理解」を上げておきましたが、しっかりした理論や考え方、姿勢を保持した上で面接に向き合う段階に来たのではないかと思います。

さて、論述対策ですが、まずやるべきことは「過去問」分析です。ネットで公開されていますので、もう一度しっかり中身を分析してください。細かく分析していくといろいろなことが分かってきます。

キャリコン実践研究会でも徹底的に過去問分析を行いましたので、『論述基礎講座A』としてご参加の皆様と共有したいと思います。『理論講座』または『テキスト』のお申込が前提となりますが、面接試験対策を含めて、きっとヒントが見つかると思いますので、是非、ご参加ください。

また、過去問分析が終わりましたら、『論述対策講座B』で予想問題も含めて対策の仕上げを行います。過去問分析の内容とは重複しませんので、是非、A⇒Bとご受講頂ければと思います。

前回、第一回の論述対策には多くの方にご参加頂きましたが、ご参加いただいた方の多くが、それ以降のロープレ講座で大きく成長しました。やはり、キャリアコンサルティングは総合力だという気がします。

さまざまな機会を活用して、ご自身のコンサルティング能力を磨いてください。すでにプロの道は始まっていますし、合格後も学びの道は続いていきますので。

メール不調のお詫び

皆様から当会キャリコン実践研究会宛にご返信いただいたメールの一部において、当方で受信できないというトラブルが10日間程度発生していることが分かりました。

ご不快に思われた皆様には、こころよりお詫び申し上げます。

このことになかなか気づけず、処理が滞ってしまいました。

遡って、極力、再度のご確認メールを差し上げるように致しましたが、すべて確認できたか、不安でもあります。(お心当たりの方は、お問い合わせ頂けると助かります。)


対人関係で大切なのは挨拶ですね。

面談も対人関係ですから、挨拶は欠かせません。お話を頂いたら伝え返す。講座でも最初のチェックポイントになります。

問合せが来たらご返事する。メールが来たら返信する。約束したら守る。これらは日常そのものです。その様に生活することによって、健全なコミュニケーションが保たれていきます。

面談が難しくなるのは、こうした点が疎かになっている場合です。日常のことですので、改めて面談でやろうとすると、意外に大変なんですね。


今般の受信トラブルは、改めて、コミュニケーションの大切さを教えてくれました。

インターネット、メール・システム、通じて当たり前の世界に身を置いていると、通じなくなった時の影響が大きく感じられます。

そして、客観的な事実とは裏腹に、それぞれの主観的事実が歩み始めます。これはまさに相談者/クライエントのストーリーであり、面談のテーマと同じですね。


ちょっと横道に逸れました。

不手際をお詫びすると共に、これから、どうするかです。

でも、戻ることは出来ませんので、別の形でお返しすることを考えるべきですね。そして、あとは”大きな力”に任せるしかないのかもしれません。

第2回用 『テキスト』

第2回国家資格キャリアコンサルタント試験用『テキスト』が完成しました。

CDA試験用の『レジュメ』、そして、ほぼ全面改訂として作成した第1回用国家資格キャリアコンサルタント試験用『レジュメ』。

準備して臨んだ第1回の論述試験、面接試験の内容は・・・、ビックリでした。
(でも、基礎・基本としてCDAの要素も残しておいて良かったと思います。)

JCDAの出題を見ても、内容はCDAの流れを踏襲していました。論述試験の指定語句群の中に「自己探索」や「自己概念」の文字を見つけ、そう思われた方もいらっしゃったんじゃないかなと思います。

面接試験においても、事例は、過去に出された内容に似たものがありましたし、展開もそう変わり無かったようです。

考えてみたら、われわれ受験生の側で、”変わるものだ”と思い込んでいたのかもしれませんね。

同じ標準レベル、合格後は申請によってCDA資格も得られるという訳ですから、変わると考える方がおかしいのかもしれません。試験が終わってから言えることですが。

そんな訳で、何とか全面改訂を行い、名称も『レジュメ』から『テキスト』に変え、昨日、やっと配信にこぎつけました。(お待たせした方には、大変申し訳ございませんでした。)

IMG_0750



第2回用 『テキスト
  A4判で、86頁になってしまいました。






新版の『テキスト』をCDA版に戻そうとも思いましたが、改めて考えてみると、第1回用で触れた技能士関連の部分も、大変参考になることが分かりました。特に、CDAで自己探索した後、どの様に進めていくのか、「今後の展開」と言う面で、役に立つ手法が揃っています。

CDAは内的キャリアに強い、技能士関連は具体的な展開に強い、いづれも資格取得後にキャリアコンサルタントとして社会貢献していく為には、欠かせない要素です。従って、将来まで含めて考えると、上記ふたつの要素の融合が必要なのではないかと思います。

そういった背景から、50頁のレジュメが86頁の『テキスト』になってしまいました。

頁数が多くなってご迷惑をお掛けする点もあるかと思いますが、ご容赦いただければと思います。また、JCDAのみならず、キャリア・コンサルティング協議会で受験される方もいらっしゃると思いますので、そういった方にもお役に立てると思います。

(内容)
 1.はじめに
 2.国家資格化の動き
 3.キャリアコンサルタント実技試験の概要
 4.実技試験受験の基礎
 5.実技試験受験の基本
 6.実技試験の対策
 7.最後に

第2回にチャレンジされる方は是非、『テキスト』をお手にとってください。

お時間が合えば『理論講座』のご受講をお奨めします。教材として『テキスト』が付き、86頁のポイント中のポイントを分かり易くご説明させて頂きたいと思います。
(理論講座予定)
 10月18日(火) 19:00~20:30
 10月22日(土) 12:05~13:35

その他にも各種講座をご用意していますので、『キャリコン実践研究会』のサイトにお立ち寄りください。ご一緒に学べることを楽しみにしております。

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