受験票が届くようになり、いよいよ試験が近づいてきましたね。キャリコン実践研究会でもロープレ講座の前半が終わり、論述の徹底強化週間に移っていきます。

前半のロープレ講座を振り返ってみると、初心者の方には一定の傾向が見られるような気がします。

それは、「きっかけは何ですか?」「やりがいは何ですか?」「お気持ちは?」といった質問をよく使われることです。

しかし、ロープレを拝見していると、どうも効果的では無い。質問が活きていない感じです。どうしてなんでしょうね。


その背景には、経験代謝で経験を振り返ろう、肯定的な自己概念を探す為にポジティブな面を引き出そう、感情は大事だから気持ちも聴かなくちゃ、といった考えが働いているのではないかと思います。

確かに、それぞれの動機は分かりますね。

でも、機能していない。

知識や理論ベースでは理解しているが、面談という手法、実践ベースでは活かせない、ということでしょうか。


その理由はいろいろありそうですが、ひとつには「現状把握」に問題があるのではないかと思います。大事な大事な「今、ここ」の視点ですね。

相談者は「どうしようか」と思って相談に来ます。どうしようか、ということは、今、相談者の周りで、不都合なことが起きている訳ですね。そのことによってこころが動き、価値観が問われている。

つまり、「今、ここ」はどうなっているのか、ということが明確になっていないと、動いても有効では無い、ことになります。

例えば、何かやりたい仕事があるということであれば、やりたい仕事についてジックリ聴いてみる。その上で、その仕事をやってみたいと思ったきっかけを訊く訳です。

やりたい仕事について十分話した後であれば、相談者も気持ち良く「きっかけ」について話してくれるでしょう。ですが、やりたい仕事に付いて十分に話しきらない内に「きっかけ」を訊かれたら・・・。


カウンセリングの基本は、「今、ここ」で何が起きているかです。そこをしっかり押さえた上で、過去に旅したり、未来に思いを馳せたりする。そして、また、今に戻り、歩き始める。

悲観的になっている現状をジックリ聴いた上で、ポジティブな面に焦点を当てる。状況をジックリ聴いてみれば、「お気持ちは?」と訊かなくても、(お気持ちは)必ず感じ取れる。

「今、ここ」を外した応答では深まりませんので、注意してください。