キャリアコンサルタント試験、JCDAの第23回論述試験の解答例を作ってみました。尚、解答例は正解を示すものではなく、また何らかの結果や効果を保証するものではありませんので、予めご承知おきください。

今回の事例は学生で、介護職を目指してきたが、ある経験から本当に向いているのか自信がなくなってきて不安だというものです。

指定語句も5つ出ていますが、助言(5回)、内省(5回)、問題解決(5回)は頻出語で解答するのに迷いは無いでしょう。尚、この3語以外の常連は、経験(10回)、自己探索(8回)、ものの見方(8回)、共感(7回)、感情(5回)などです。 ※( )内は第2回から第23回までの累計登場数です。

これら指定語句の理解は必須ですが、JCDAの考え方を象徴している語句ですので、問い1以外の解答に使ってもいいかと思います。

問い3、相談者の問題は現実にそぐわない考え(ものの見方)に現れます。どうしてそうなったかというと過去の経験が影響している。その経験を突き止め、否定的な自己概念を明確にします。そして、問い4で、肯定的な自己概念に作り替えていく。こうした応答が基本になります。

※睡眠不足は点数に大きく影響します。試験数日前から試験時間に合わせた体調管理と十分な睡眠を心掛けてください。

(第23回JCDA論述試験:解答例)
問い1
事例Ⅰは相談者が置かれている事象にのみ着目し、「もう少しいろいろな経験をしてみてはいかがですか。」と安易に助言したり、「でも、」「まだ学生さんですよね。」とお話をさえぎるなど問題解決を志向するような相談者に不満が残る対応をしている。一方、事例Ⅱは「もう少し詳しく」と励ましから始め、「何がお手伝いを続けさせたのでしょうね。」と内省を促し、「我慢している自分をどう思いますか。」と自分を客観視させるなどキャリアの成長につながる相談者主体の対応をしている。

問い2
事例Ⅰ:「相応しくない」
理由:モヤモヤという相談者の感情を無視し、経験から学ぼうともせず、ただ失敗と決めつけ、頑張れと安易に励ますなど支援者の価値観で誘導しているように思えるため。

事例Ⅱ:「相応しい」
理由:新たな気づきが得られたので、「自分をどう思うか」と問い掛けることによって、相談者の新たな自己概念の構築を支援し、自律を目指すような応答になっているため。

問い3
相談者は祖母が喜ぶ顔が嬉しく介護の道を選んできたが、職場体験会で別の仕事が気になったにもかかわらず利用者の要望に負けてしまったことで自信がなくなり、不安になった。そこで、丁寧にお話を聴いていくと、祖母と母のやり取りから祖母に気に入られるようにすることが身についてきたということだった。この点から、相談者の問題は「介護者は利用者に気に入られるようにするべきだ」と考えていた点にあると思われる。

問い4
「利用者さんのためと言いながら自分のためですよね。何やっているんだろう。」という気づきで終わっているので、今後は自信を持って不安なく介護の仕事をしていけるよう新たに肯定的な自己概念を作り上げることを目標として面談を展開していく。具体的には、利用者のためになる介護とはどんなものか、利用者自身でできる喜びを感じる介護とはどんなものかなどを確認する。また、そのような介護を行っている自分をどう思うかと再度問い掛け、介護の仕事を進めていく上で肯定的で柔軟な考え方を身につける。

(以上)